孫正義さん率いるソフトバンクは、19年7~9月期連結決算で7000億円の赤字を記録しました。前期の4~6月期には1兆1217億円の黒字でしたから、ジェットコースターが昇ったり下がったりする状態です。
孫さんは、「投資の判断がまずかった。高すぎた」と言っています。シェアオフィスを展開しているIPO(新規公開株)候補の「ウィーワーク」を買収した判断が間違っていたと考えているようです。
これまでは、中国の通販「アリババ」、配車サービスの「ウーバー」、対話アプリの「スラック」など、IPOで大きな利益を上げてきた孫さんにとって、近年の企業投資では初めての失敗ではないかと思われます。
これを孫さんの個人的判断の失敗なのか、それとも世界的金あまりを利用した投資モデルが難しくなっているのか、判断の分かれるところ。わたしは、そろそろIPOによる錬金法が難しくなっている、経済の流れが変わっている気がします。
景気が上昇過程にある時、投資家は新たな投資先としてリスクが大きいことは承知でIPOへ投資します。リーマンショックで冷え込んだ経済を立て直すため、各国の財務省や中央銀行が投入した資金がじゃぶじゃぶにありましたから。
現在、経済はそこそこ立ち直ってきていますが、米国トランプ大統領のように人気取り目的で好景気を維持させるため、FRBの金利引き上げの動きを止めさせようとする強い力が動いています。
ただ多くの投資家は、最高の株高を記録しているにも関わらず、景気は下降が始まっていると認識して逃げ腰です。過去に何度も、下降する景気に中での株高に乗って痛い目に遭っている投資家が少なくないからです。
ビジネスにおいて、小企業が常に利益を上げ続けることはあり得ません。景気循環を冷静に考えるべきです。孫さんでもこの流れに逆らえません。逆に、調子のよい時の孫さんばかりでなく、この逆行でどう行動するかそちらに関心を向けるべきでは。
そして、これから起業や新規事業を新たな投資と考えるなら、下降が始まった景気の中で事業を立ち上げるより、景気が底をうつまで我慢する手もあると思います。自分の都合よりも、景気の都合に合わせての起業の方が有利です。
【昔から今に通ずるビジネス金言】
「忙しい人には時間がある、暇な人には時間がない」
一見、逆のように思われますが、ビジネスの世界では、この考え方が定着しています。一つには、忙しい人は仕事が早いことがあります。二つ目に、暇な人は時間の使い方が下手といわれます。普段の生活においてもリズム感は必要ですが、仕事の忙しい人はこのリズムに乗っている人と言えそうです。
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