この国の実体経済に関して、日本のマスコミはあまり触れませんが、最近欧米のメディアで見かけることが多くなりました。日本と米国の巨額な財政赤字が世界の不安定要素の一つになっているからです。
その記事でよく使われる台詞が、“この20年間、欧米では毎年2%の賃上げが行われ、約50%の賃上げが実現している” 一方日本の場合は、ほとんど賃金が上がらない悲惨な実体です。
その結果として、2000年を100とした名目経済成長率(GDP)は、米国が209、EUは175なのに対し、日本は105。しかも、実質GDPは117で名目GDPよりも、実質が高くなる異常事態です。
本来、名目は一年だけの単純計算なのに対し、実質は物価変動幅を引いて計算しますから、名目の方がGDPは高くなるのが当然のはず。これがデフレ経済の怖いところで、日本の場合は物価の下落が常態化した経済です。
経済を中心にした日本国の実体は、政府が過去の資産を喰いつぶす財政出動で景気を維持し⇒ 雇用が改善して ⇒ 物価が上がらないことにより ⇒ 国民生活は何とか安定し一時的なぬるま湯状態になります。
政府が経済改革に着手しなければ、国民の恨みを買うこともなく選挙にも勝ち続けます。ただ、日本の将来を考えたとき、ぬるま湯が冷えた時には、過去の経済大国だった時代を自慢するしか誇るもののない国に落ちぶれます。
経済改革の実例としてよく取り上げられるのが、米国・カリフォルニア州での大規模農場経営の件です。1960年代、カリフォルニアでは大量のメキシコ労働者が越境して農場で働いていました。
米国政府は国の安全のためこの労働者の越境労働を禁じる制度を作ります。農場経営者は大反対しましたが、最後は仕方なく機械化でこの難局を乗り越えた経営者だけが、生き残り生産性を飛躍的に向上したケースです。
日本においても、生産性を高めるため経済の構造改革を進めないことには、中国や韓国の後塵を拝することになります。ただ、日本の経営者の中にも生産性に関し勘違いしている人は少なくありません。
生産性というと、1時間に1人の従業員が何個作れるかを基本にして、生産性と考える経営者がいます。これは技術の生産性であって、経営での生産性は1人の従業員の経済活動により、どれだけ付加価値を生み出したか金額幅が課題です。
構造改革は、既存企業にとって血の出る転換を迫られますが、これからの起業にとっては方法を間違えない限り追い風です。変化の激しい今は、この国の進み方とご自身のこれからを考えるよい機会です。
【昔から今に通ずるビジネス金言】
「起業は自分のやりたいことより人から必要とされること」
起業する場合は、あなたが楽しくできる仕事が第一です。次は、人から必要とされること。自分のやりたいことは後に回しましょう。何故なら、自分のやりたいことは往々にして、人から必要とされることが少ないケースが多いです。あくまでも収入がないことには、いくら情熱があっても長続きしません。持続性を高めるためにも、人から必要とされる仕事は大事です。