日本に上陸しているコロナウイルス感染で、初めての死者がでたことで新型肺炎に対する恐怖感が国内で急に高まっています。それまで、毎年流行するインフルエンザと同じレベルの感染力と思っていたのが、急に正体を現した感じです。
政府はこれまで公式には発表していませんが、国内で大流行する前の空港や港湾施設などの水際で食い止める方針と見受けられました。横浜沖の大型客船内で起こっていることばかりに注意が向かい、国内での感染にはあまり注意が向かいませんでした。
今から振り返ると1月下旬には、既に日本国内でコロナウイルスの感染が始まっていました。武漢からの日本人帰還、大型客船「ダイヤモンド・プリンセス」での集団感染など、関心が海の向こうに向けられている間に水際作戦は破られていました。
最近のアメリカやイギリスのメディアは、「日本政府のウイルス対策は失敗例として教科書で取り上げられる」とまで言い出しています。今後、国内のどこからでも感染は広がりそうですから、政府の水際作戦は失敗したようです。
これは日本社会が抱える持病とでもいえる現象のようです。現実を正視しないで建前や理想論に終始する癖。本来なら水際で食い止める努力以上に、国内感染が進んだ時のための準備をいち早く行う必要がありました。
建前の早期の段階で感染を食い止めることができるならそれは理想ですが、お金がかかっても流行した場合の準備も同時並行で進めるべき。「準備したのに無駄骨だった」で済んだとしたなら、作戦としては大成功とするべきです。
企業経営において、日本社会の持病に似たような例は従業員による不正行為です。経理を一人の社員に任せきりにして使い込みをされるケース。「うちの会社に、不正をするような社員はいません」が口癖の社長はよくいます。
「これまで20年、何も問題がなかったのだから心配はいらない」といっていたのに、経理担当者が会社の資金を持ち出して姿をくらませたため、資金繰りが苦しくなって倒産するケースは少なくありません。
どんなに品行方正な人間であっても、個人的借金で身動きが取れなくなったときは簡単に悪に手を染めます。これは性弱説といわれ、もともと人間は善人でも悪人でもなく、環境によって悪にも善にもなる弱いものである意味です。
長いこと会社経営に成功している人は、この辺の頭の切り替えが上手くできている人です。先を見越し柔軟に対応することができます。会社経営も新型肺炎対策も、これまで大丈夫だからこれからも大丈夫の保証はありません。
【昔から今に通ずるビジネス金言】
「消費者が買うのは欲しいモノ、必要なモノ」
決して「良いモノ」でも「安いモノ」でもありません。日本人は長い事、良いモノは売れると思い込んでいました。アップルスティーブ・ジョブズが作り商品は、お客さんが欲しくなるモノを第一に意識した商品づくりをしています。安けりゃ売れると思い込んでいる経営者が多いですが、最近はすっかり人気がなくなりました。欲しいモノ、必要なモノも変化しますから、市場から目を離せません。