コロナ騒動は、人から人へとウイルス感染して急性肺炎につながる病気の問題です。一方、株価が大暴落しているのは、コロナ騒動をきっかけに日常生活がストップし、先々継続的に商取引が縮小に転じる経済の問題です。
現在、コロナ騒動さえ収まってくれたら、再び景気が回復してくると信じている人は大勢います。果たしてコロナ騒動ばかりに関心を向けて、経済の景気循環を無視していて大丈夫だろうか?
振り返ってみますと、世界経済はほぼ10年周期で大型の不況に見舞われています。バブル経済の最中で日本はほとんど影響を受けませんでしたが、88年のブラックマンデーは米国を直撃。97年からはアジア通貨危機、08年リーマンショック。
20年はコロナショックということになるのでしょうか。大型不況が到来するたびに先進各国が協調して、多額の景気対策の資金供給を実施しています。この資金が市場から溢れてバブルを引き起こす悪循環が10年周期に続くようになりました。
米国も中国も、溢れた資金が不動産の高騰を招いています。また大半の主要国が金融緩和を実施しているため、慢性的に低金利が続いています。そこで高金利を求め、リスクの高いゾンビ企業や不良物件に投資をしていましたから、きっかけさえあるとバブルが弾ける条件は整っていました。
コロナ騒動による経済停滞は、お誂え向きのきっかけとなりました。コロナ騒動と大型不況とはまったく別ものですが、往々にして結び付くことにより大変な事態を招くことは過去にもありました。
ビジネスに関わる人間が今心配しなければいけないのは、このほぼ10年置きに発生している大型不況がこの先どの程度の期間続くかということ。また大型不況の性格が、ビジネスにどんな影響をもたらすかです。
これまでの不況では、設備投資や消費が急激に落ちるため売行き不振が最初に深刻なります。また、金融機関による貸し渋りや貸し剥がしも起こります。これまで資金を借りてと頭を下げた銀行が、掌を返して返済を迫ることもよくあります。
劇的に金融市場から資金がなくなるのが深刻な不況の怖いところです。やっとコロナウイルスの心配がなくなったのに、今度は資金繰りの心配で家から出られないではシャレになりません。コロナと不況は別物と考え、簡単に不況からは抜け出せないと考えた方がよいです。
【昔から今に通ずるビジネス金言】
「現代は複雑な問題をいかに単純化できるか」
われわれが抱えている問題は、どれも複雑な問題ばかりで単純な問題はほとんどありません。この複雑な問題を複雑なままで解決しようとすると、一面ばかりに焦点を当てピントの外れた回答しか出てきません。複雑な時には、一緒に考える人を増やし多様性の視点から考えてみるのも一つの手です。公式などない世界、自分で公式を創る気持ちで取り組むことです。
