令和2年3月期決算でソフトバンクは、1兆3500億円の巨額営業損益を計上する見込みを公表しました。令和元年4~6月期には、1兆1217億円の日本企業として最高の純利益を上げたと同じ会社がです。
CEOの孫正義さんは天才経営者と持ち上げられたり、借金王と叩かれたり、その評価はエスカレーター並みに上下しています。冷静に考えますと、世界景気が上昇している時は利益が上がり、下降すると業績も下がっているだけの話です。
企業経営を40年続け、世界経済の最前線でビジネスを展開している孫さんをしても、世界的な景気の大きな流れに逆らって利益を上げることはできません。それほど人々の心理と行動とを反映する景気は、冷徹な動きをします。
昨年暮れ小型スポーツジムを開業したMさんは景気の流れより、住民の関心が健康に向いているかどうかばかり気にしていました。開業予定地でのライバル店の運営方法に関心を奪われていました。
そこに噴いて湧いたコロナ騒動です。開業したスポーツジムは3カ月しか持たず閉店することになりました。政府の非常事態宣言が出る前に、退会者が続出して営業を続けることが難しくなっていましたのです。
長い経営実績のある人でも、一旦走り出した消費の縮小や集客の下降局面は止めることができません。科学的根拠がまったくなくても、人々の噂として広がったネガティブキャンペーンを止められないのと同じです。
今となっては、近視眼的に目先の事象ばかりに目を向けないで、バランスよく経済の大きな流れにも目を向けないと失敗します。閉店廃業したならば、事業はそこで終わりになってしまいますから。
【ひと言】
起業や新規事業での失敗を避けるため、経営学では「死亡前死因分析」という手法を使って失敗要因をピックアップします。もし要因が決定的なものでしたら、ビジネスの実行を中止することもあります。現代の「多様性」、「想定外」など一人の人間の想像を超える出来事続きでは、頭数を増やして知恵を集めるしかないということです。