わたしにとって、日本経済新聞最終面で連載している「私の履歴書」は、人の運命を考える格好のモデルになっています。5月1日から、日本人女性では早くから国際的に注目された女優でエッセストの岸恵子さんが登場しています。
12歳のとき彼女は、太平洋戦争の真っ只中に横浜市に住み、米軍の圧倒的空軍力の下で攻撃に逃げ惑います。当時の日本では、敵の空襲に備え前もって地中に穴を掘っておいた防空壕に逃げると決められていたようです。
ただ彼女は、母親から防空壕には行かずに学校の講堂に行くように言われていたため、兵隊さんの指示を聞かず防空壕には逃げませんでした。結局その防空壕は、爆風と土砂崩れによりほとんどの人が死んだと書いています。
これまでにも、戦争中に米軍の大規模な空襲に遭った時、防空壕に入れてもらえなかったことで助かったり、パイロットの顔を見ていて攻撃されなかったり、他の日本国民とは違う行動に走って助かった人がたくさんいます。
現在のコロナ危機においても、大勢の人は政府の支援ばかりを頼りにして、自分でこの難局を抜け出す策を考え抜くことを放棄した人は多いです。政府が考えるのは、全員を助けるための方策であって一人ひとりの救出とは無関係です。
多分、このような難しい局面では、全ての小企業が助かることは難しくても、個々の会社が生き延びる方法がまったくないとは思えません。事業を始めた以上は、何が何でも少ないリスクで事業を継続させることを第一に考えることです。
その場合、他の経営者と同じ発想をしていて継続することはムリです。この長く継続させようとする課題は、経営者にとって常について回る大きな問題です。ほぼ10年ごとに、経済の大波が押し寄せる現代の経済環境では決して楽ではないです。
他の経営者と同じ手法で生き延びようとしない道を選ぶのは、その方法の中の一つです。人の真似をしていては、同じように簡単に市場から消えることになります。消えないためにも、独自色で考えて考え抜くことです。
【ひと言】
今、起業家やビジネスパーソンにとって基本の基であるはずの、自分の頭で考える作業を忘れている人が増えています。スマホやパソコンで検索すると、それらしき答えがでてくるため自分で考えることをしなくなる人が増えているためです。多くの人が同じように検索していると、同じようなビジネススタイルを多くの人が踏襲していることになるのですが。