次第に新型コロナウイルス感染が収束に向かうに従って、何故これほどまでウイルスが大きな傷跡を残したのか検証が始まっています。中国武漢市で発生した新型コロナが、わが国で最初に報道されたのは1月12日(日)付け朝日新聞です。
「武漢の肺炎 61歳が死亡 新型コロナウイルで初」の見出しがこの日の紙面に載っていたようです。わたしもこの日の朝日新聞は読んでいるはずですが、ほとんど記憶に残っていませんしメモもありません。
問題とされているのは感染症専門医のコメントとして、「過度に心配する必要はないだろう。これ以上広がる可能性は低いと思う」 多分ほとんど詳細情報のないなか、国民を安心させようとする意図が読めるコメントです。
この時期は日本の指導者も国民も、7月に開催される東京五輪に関係したニュースばかりに注目が集まっていました。2月5日横浜沖に停泊していた客船「ダイヤモンドプリンセス」で初の感染者が確認するまで、別世界の出来事と思っていました。
日本政府の声明が発せられたのは、13日80代日本人女性が死亡してから16日後の29日の安倍首相の発言です。「2週間程度、あらゆる手を尽くすべきだ」 コロナ初期段階のこの時期、東京五輪開催に不都合な情報は意識的に外された気配があります。
人間の頭脳の働きは、一つのことに関心を集中させますと他のことにはどうしても注意が向きません。起業する人にとっても、商品・サービスの売れゆきから、資金繰り、従業員の使い方など幅広く頭を働かせる必要があります。
また一つの情報ばかりを信用しないで、常に複数の情報を基にして考える癖をつける必要があります。21世紀に入って、世の中の動きはますます複雑で、不安定で、曖昧で、不確実になっていますから。
単線思考で大事な課題に取り組むと、会社にしろ政府にしろ、直ぐに今回のコロナのような難局に対処できないことになります。今後も、自然災害や大型不況、人的失敗など、事業を悩ます問題は尽きません。
【ひと言】
以前の企業経営は、バランスよく経営能力の優れた人が、個人的な才覚をテコに起業するケースがほとんどでした。ところがITが発達し、マーケティングやリーダーシップも多様化した現代では、多くの人と横のつながりを強くして経営にあたらないと、複雑な時代の事業展開は難しくなっています。自分の能力を過信することは失敗の最大の原因です。
