昨年まで大挙して日本を訪れていた中国人の多くが、新型コロナショックを経験し今は貯蓄に励んでいると言われます。中国は広いですから、誰もが発生源の武漢市のような悲惨な状況ではないはずです。
あまりコロナ感染者の発生しなかった都市では、一度武漢の悲劇を目の当たりにして、海外旅行でお金を遣うより貯めることを考えています。これが中国での多くの人の総意となりますと、旅行者の受け皿を事業にしている日本人も考え方を変えざるを得ません。
これまでのように、中国や韓国からの観光客が遣うお金を当てにしたビジネスを考えているなら、大きく当てが外れることになります。昨年までの曲りなりの好景気を再現することは難しいです。
これは、海外旅行者を当てにしたインバウンドばかりの話ではありません。日本最大手メーカーのトヨタ自動車の営業利益が8割減になると発表しましたが、ドミノ倒しで関連する企業群も大幅な利益の減少に見舞われるはずです。
今は国民全員に特別定額給付金の10万円が配られ、何となく明るい空気が立ち込めていますが、経済の実体は想像以上に厳しそうです。中小企業向け補助金の配布が終わると、相当数の倒産と失業とが現実問題として浮上します。
これまで2度わたしは大型不況を経験し今回が3度目ですが、そのたびに不況のスタイルが違うことに気付かされます。過去の不況はほとんど、金融機関へ預金者が取り付け騒ぎを起こすことで金融不安から始まりました。
その経験から各国政府は現在、思い切ったヘリコプターマネー政策を実施して国民に資金配布を行っています。これまでの不況対応が、今回の場合はあまり参考にならない可能性もでてきました。
ただ、今我々は大型不況の真っ只中で生活していることは確かです。今後、会社勤めを続けるにしろ、転職をしても、起業でも、ピンチとチャンスとの背中合わせの中で仕事をすることになります。
このような時、過去の経験に基づく思い込みは棄て、現状をよく見ていて自分で考える。また、人と景気や経済に関する話を積極的にして、貪欲に情報を集めることもビジネス筋を鍛えることに役立ちます。
【ひと言】
わたしの周りで10万円の給付金を受け取った人が一人もいないのに、わたしだけが一昨日入金され顰蹙を買っています。これは、わたしが長い事e-taxで納税していて、このシステムをそのまま給付金請求で活用できたからです。日ごろの納税意識は、こんなところで役立つって嬉しいようで、財政を考えると恐ろしいようで、何とも複雑です。