起業を目指す人にとって経営と技能を現場で学べ、その上給料も貰えるとなると飛びつきたくなります。ただ、あまりに好都合な話には落とし穴があると言われる通り、これまで働いてきた人たちから訴える騒ぎが起きました。
全国でビジネスホテルを展開する「スーパーホテル」で発生した訴訟です。5月28日、東京・上野で営業しているスーパーホテルの一店舗の支配人と副支配人から、未払い賃金と残業代の支払いを求められています。
このホテルでは独立開業の希望者を募集。現場で働きながら仕事を覚え、将来はスーパーホテルの店舗のフランチャイズオーナーとして独立する仕組みを採用していることを、日経MJで創業者山本梁介さんの連載で知りました。
今回の訴えの内容は、業務委託でホテルを切り盛りしていた支配人と副支配人の2人が、今年3月いきなり契約を打ち切ることを通告され訴訟に踏み切ったようです。18年9月から1年半に渡りホテルに住み込んで働いた末の出来事です。
業務委託を受けると1400ページに及ぶマニュアルを渡され、その指示通りに仕事をしていないことが契約解除の理由のようです。今のところホテルの言い分は公になっていませんから、訴えた2人からの言い分だけの情報です。
開業を目指す人は、新入社員と同じように知らない業務を教えてもらう立場ですから、ほぼ会社側の言いなりで仕事に従います。一つ間違えますと、今回の訴訟のように散々安い給料で働かされた上で、「仕事に向いていない」の一言で辞めされられることもあります。
結果論になりますが、ホテル経営という初期投資額が大きなビジネスで、独立起業を目指すところにムリがあるのかも知れません。辞めさせられた3月という時期は、コロナショックと関連性があるようにも思えます。
似たような仕組みは、日本マクドナルドやココ壱番屋などでも社員向けに実施されています。事前情報が不足するなか、一人で自分に都合よく想像して判断した時は失敗しやすい時です。仕組みが問題というより、個々の会社の問題のようです。
【ひと言】
不景気になりますと、ビジネスの世界では騙しやトラブルが多くなります。特に、これまで自前でビジネスをした経験のない人は注意が必要です。また、これまではしっかりしていたはずの会社が、豹変して悪事に走るのも不景気時の特徴です。ビジネスにおいては、1つの失敗が経営者の破滅にもつながりますから、ご注意を。
