現在のビジネスにおいては、販売数量を増やすため異常なほど情熱を傾けますが、利益に直結する価格設定に関しては意外なほど淡泊です。特に、事業経験の浅い人ほど、売れさえしたら何とかなると考えがち。
価格に関しては日ごろから知識の蓄積が必要です。最も簡単な方法は、TVコマーシャルをみて価格を当てる方法。チラシで商品情報を得てから、その価格を推定することで市場感覚を身に付けている人もいます。
数人集まった時など、手持ちの商品の購入価格を事前にメモしておいて、全員に推理してもらう遊びは役立ちます。その時、参加者が発する発言は、購入を考える人の心情と重なる部分が多いからです。
よく商品開発する時のプロセスが、販売ストーリーとして語られることがあります。現在のSNSを通じての販売戦略には欠かせない手法です。同じように、販売価格を決める方法にも、ストーリーがあってもおかしくないはず。
はっきり言えることは、「思い付き」による価格設定は絶対に止めること。往々にしてもっと高い価値のある商品を、「思い付き」「思い込み」で安くしたことにより、安物商品のレッテルを自分で貼ってしまって売れなくすることがあるからです。
今後、世界経済はコロナの影響によって物価が下がるデフレ圧力が広がると予測されています。そんななか、デフレで痛い目に遭っていながら価格を下げることで、商品は売れると信じている経営者が多数います。
値下げをしないで販売するには何が必要か、これからの経営者が考えなければならない大事な命題です。売ることばかり考えるなら、そのうちの2割でも3割でも、正当な価格で販売することを考えてはどうでしょうか。
【ひと言】
例え新型コロナウイルスの拡大が収まったとしても、「3密」は市民生活のなかのルールとして長く残りそうです。これまでの量の経済が難しくなります。少量販売で会社が生き残るには、これまでの販売戦略も価格戦略も変える必要があります。店舗数も減りそうですから、新たな発想を考えるしかないです。