人間、運の良いことがその人の為になるかどうか、相撲部屋親方の暴力問題は考えさせられるきっかけになりました。部屋を代表する親方ではなく、部屋に所属する指導役だった中川親方が、相撲協会の事情でいきなり弟子10人近く抱える親方になったのは17年。
本来、自分で相撲部屋を興すとなると、建物を確保して弟子を集める資金でも人脈でもたいへんな苦労があります。中川親方は部屋の建物も弟子も前任の親方から引き継いだため、ほとんど苦労なしで部屋持ち親方に就任しました。
決局は、このまったく苦労なしで親方に就いたことが、後から考えると裸の王様を作ることになりました。相撲取りだから、裸は当たり前なんて突っ込まないでくださいw 日常的に、弟子に対し暴力と罵声を浴びせていたようです。
その結果、暴力に対し神経質になっている協会の耳に入り、親方としては残ることはできましたが、部屋は取り潰しになりました。今、相撲界入り希望する若者が少ないうえに、暴力事件が起こるとますます力士志願者が減ります。
この経緯と似たようなことがビジネスの世界でも起こっています。わたしが過去に経験した例では、関東の地元では有名な高級弁当店が、前社長が亡くなって半年ももたずに廃業したケースがあります。
60代でやり手だった社長が朝に布団の中で亡くなっていたため、急遽会社勤めをしていた30代の長男を社長として迎え、波風を立てずに事業継承するストーリーを未亡人となった奥さんが考えたのですが・・
この長男が社長の肩書に舞い上がってしまい、古くからの職人たちと意見が合わず辞めてもらったことで、簡単に事業は行き詰ってしまいました。会社を立ち上げるには大変な苦労をしますが、止める時はホント簡単にコケルものです。
職人が辞めたばかりでなく、事前調査をほとんどしないでIT化を進めたり、仕入れ先を安価な食材店に切り替えたり、事業で失敗するためのトンネルを一直線に突き進む結果になりました。
地元の事情をまったく知らない、前の会社で付き合いのあった人のアドバイスをそのまま受け入れたようです。相撲部屋にしろ、会社経営にしろ、ステップを一段ずつ踏みながら進まないと経営は失敗します。
経営の世界では、リーマンショックやコロナ危機のような、大波を一度は乗り越えた経営者でなければ一人前とは言いません。運の良さだけを頼りにした経営者では、景気の波によって簡単に振り落とされてしまいます。
【ひと言】
簡単に覚えたことは簡単に忘れますし、誰にでもできることはお金にはなりません。会社経営で今注意しなければならないのは、古い経営手法を今も大事に実践している人がいますが、時代の変化と同じように経営も変化しています。環境の変化は注意深く追い続け、変化に対応した取り組みをする必要があります。
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