今年3月18日、コロナ感染者が1000人程度のまだ初期のころ、飲食業界が大騒ぎするニュースが流れました。公正取引委員会は、飲食店予約サイトを運営する17社に対し独禁法違反の疑いで実施した実態調査の結果を公表したからです。
多くの飲食店から、「グルメサイトがネットで掲載している評価点数や掲載順は運営会社の営業が絡んで決められている」と言った訴えに対する調査でした。もし恣意的に点数が決められているなら、独禁法に違反している可能性が高くなります。
公取委は19年4月から20年3月まで、グルメサイトの17社、飲食店、消費者をアンケートと聞き取りによる調査を実施しました。その結果、独禁法に違反する恐れのある事例がいくつも公表されました。
「表示順や評点の決め方を恣意的に操作し、特定の店の表示順を下げたり、点数を落としたりしている」 「飲食店の意見を聞かず、一方的に掲載手数料を引き上げている」 「ライバルのグルメサイトと同じか、それ以上の割引クーポンの掲載を要求」
「ライバルサイトに予約席の在庫を出さないように制限を加える」 「優先的予約座席数を確保するため、予約席管理の専門ネット業者を排除する」 基本的に、グルメサイトの高額プランと契約する飲食店ほど、サイトの上位に表示される仕組みで運営されています。
問題なのは、飲食店利用者のほとんどがこの評価の仕組みを知らされずに、純粋に人気の高さと信じ切っていることです。この公取委の調査では、飲食店利用者の54%が、店を探す際に「必ず」か、「大体」グルメサイトを利用しています。
この利用者のグルメサイトに対する忠誠心を武器に、サイト運営会社は高圧的な対応で飲食店に接しています。小規模飲食店にとってこの仕組みは脅威です。コロナ禍以降、飲食店市場がどう変化するか興味あることろです。
【ひと言】
公取委は、ネット上で多発していた根拠のない自社に有利なランキング商法を禁じています。グルメサイトの点数操作は、根拠のないランキング作りに似た手法です。以前から、高額手数料店を優遇する仕組みは、飲食店業者間では批判の的とされる営業方法です。公取委は、もっと早くにこの手法にメスを入れていたなら、小規模営業店の評価を上げることにもなっていたのに。
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