今も昔も、起業や新規事業に向けての業種探しは難題です。将来の成長が見込める業種は競争が激しく、成長の期待できない市場は競争もない代わりに、お客さんも少ないのが現実です。
そこで、業種や市場といったざっくりと大雑把な予測をしないで、現実的な顧客層を具体的に想定してみてはいかがでしょうか。PRするにしても、こちらの声が届きやすい利点があります。
ビジネスモデルとして最適な会社があります。この会社、大阪で立ち上げて今年11年目を迎えるオーダーメイドの紳士服専門の仕立て屋さんです。紳士服と聞いて、青山、アオキ、コナカをイメージした人は鋭い人。
これらの会社は紳士服から脱皮して新たなビジネスを模索している会社ばかりです。コロナ禍以降テレワークでの仕事が増え、紳士服の需要はどんどん小さくなっています。ほとんどこの市場への参入を考える人はいないはず。
そこに参入している仕立て屋さんは、ターゲットを経営者に絞り込んでいます。真夏の暑いなか、常に背広を着ている人に注目してください。その半数以上は、経営者か企業向け自営業者などです。
この仕立て屋さんは、主に中小企業経営者を相手に予約営業を徹底することで、洋服店特有の待ちの営業とは決別しています。また、経営者ばかりを相手にすることで、メディアには載らない経営情報を伝えることもできそうです。
2020年7月の売上高は前年比で+20%といいますから、このコロナ不況の中でも確実な業績を残しています。この顧客ターゲットの絞り込みは、紳士服事業に限った話ではありません。
この20年以上、業界全体が好景気というケースは稀になりました。特に小企業の場合は、スケールメリットを享受することがほとんどなく、ターゲットを絞らないことには利益を出しづらいビジネス環境になっています。
【ひと言】
世の中の変化に伴って、ビジネスの手法も変化を続けています。以前は常識とされたものが、今は見向きもされないことがあります。「景気のよい業種」なんて言葉もその一つで、デフレが長引くわが国では業界上げて好景気なんてことはほとんどなく、上手くニーズを捉えた会社は景気がよいけれど、その他はダメな会社が一般的なのでは。
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