今年3月から流行が始まったわが国でのコロナ禍を振り返りますと、経営力の優劣により会社の存在感は大きく変わります。流行の最中の5月に前年比で+15.2%を記録した日本マクドナルドは、暴風雨が吹いた飲食業だけに価値があります。
2015年12月期には、期限切れナゲット販売やハンバーガーへの異物混入で過去最高の赤字を記録した日本マクドナルド。業績悪化に対応するため社長に就任していたサラ・カサノバさんは、危機管理、商品の品質・衛星管理、利便性へと積極的に投資しました。
コロナが流行してからも、従来からの対面対応、店内飲食への予防だけでなく、キャッシュレス決済、テークアウト、モバイルオーダー、ドライブスルーと、コロナ対応でできることは何でも手を打つ積極さが際立ちました。
コロナ対応で、何をするとよいのか大半の飲食店経営者が迷っているなか、3月、4月とお客さんの不安を取り除くマクドナルドモデルは他の飲食店経営者に大きな影響を与えました。
日本企業には欠けていた、変化の時に柔軟に対応する強い弾力性のある経営手法です。その後も、飲食会社のなかにはマクドナルドモデルを導入する会社は増え続けています。危機対応力を高めるレジリエンス企業と言われる会社群です。
問題は、マクドナルドモデルを真似るだけでこれからの危機を乗り切ることができるかどうかです。過去にもこのような事例は数多くありました。ただコロナ不況に対してリーマンショックの手法が通用しないように、経営課題はいつも意地悪に変化します。
リーマンの時は銀行の資金繰り悪化が大きな課題でしたから、多くの企業は対策として内部留保の資金をため込みました。今回のコロナの課題は、感染が怖いために来店客が少なく売上げが以前のようには伸びないことです。
結局どこまでいっても、他社のマネをしていては独自の成長にはつながらないことです。危機の最初はマネをしていても、そのなかから自社流の対応策を考えることをしないと、いつまで経っても会社の成長にはつながりません。
【ひと言】
稀代の経営学者ピーター・ドラッカーさんが、「未来のことは分からない。未来は現在とは違う」と未来予測をしています。当たり前のようですが、多くの人は現在の延長線上でモノゴトを考えがちです。経営の失敗の多くが、この延長線上の思考から生まれています。そのうえで、未来の予兆はかならず既にどこかに存在しているともヒントを残しています。
人気ブログランキングへ