単一樹木に被われた森林は木が病気になったり、地盤が崩れやすくなります。日本の森林の多くは、先の戦争のとき軍需用に刈られた山が多く、戦後一斉に植林された特殊な事情があります。スギ花粉はこの杉の植林が原因です。
一方、昔から長い歴史をもつ雑木林は、多品種の木が植えられているため、土砂崩れは起きにくくなっています。この自然界の仕組みは、人間社会の多様性に大きな影響を与えているようです。
人間社会の多様性は、価値観や考え方が違う多くの個性が集まることで成立します。米国が好例で、常に景気がよく企業や人の新陳代謝が活発なNYやロサンゼルスには、アジア人、黒人、南米人、白人などが集まっています。
一方、トランプ大統領の支持者が多い中西部は、昔からの白人が圧倒的に多い地域です。結局、昔ながらの製造業や農業に依存する人が多いため、現代の変化に対応できずに衰退が続いています。
今度の大統領選でも一時的にトランプ人気は息を吹き返していますが、長い目でみたら持続性はないと思っています。主要国が高い関税をかけ輸入を減らす政策は、第二次大戦前の大恐慌で流行りましたから、支持者を守る危険な政策と言えそうです。
多様性を無視した経営は小企業においてよく見かけます。仲の良い友達同士や同じ会社に勤める親しいグループが起業するケース。「ツーカーの仲間なので話合わなくても意思疎通は十分です」なんて人たちの起業です。
ビジネスにおいて意見対立は決して悪いことではなく、新しい発想の多くは違う意見の主張から生まれます。同じ意見の従業員ばかり集めても、一番頼りにするお客様の方の考え方はバラバラですから、来店客数も売上げも落ちることになります。
多様性がある会社は、色んなお客さんのニーズに応えるための「ビジネスの知恵」です。会社経営者に求められるのは、この多様な従業員の意見をまとめて、お客様のニーズとマッチさせる技術です。
自分の周りを見回し多様性の有無を確認してみてください。自分の性格に似たような人ばかりではないですか。個人生活では何も問題ないですが、ビジネスでの多様性を失くしていると、将来に問題を起こす火種になります。
【ひと言】
世の中には、目に見えない影のルールのようなものが存在しているように思います。社内の社員同士が仲のよい会社は理想的のように思われがちですが、意外と業績は伸びず破綻するケースが多いです。多分、社内に多様性を受け入れる余地が少なく、無意識に顧客選別が行われて会社の首を絞めているようです。気を付けましょう。
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