新型コロナの感染拡大以降、飲食店経営は厳しい崖っぷちを歩くような環境にあります。東京の場合ですと営業自粛がありましたし、営業時間の短縮時期も長く続きました。テーブル数を減らし、客数の制限もしています。
売上げ減少を補うため人気飲食店は、スーパーやコンビニで定番メニューを販売するケースも増えています。今は、このコロナ禍を生き延びるために、打てる手は何でもやろう精神の店が少なくありません。
そんななか、高知市のイタリアンレストランがドレッシングを売り出して成功している話が広がりました。国内市場だけでなく、海外向けにまで手を伸ばそうという話です。
この苦しいなか、そんな成功例があるのかと驚きました。急いでチェックしてみますと、確かに街のレストランが地元野菜を材料に、わが子の野菜嫌いを何とか食べてもらおうと製造したドレッシングが、売れている話は間違いありません。
ただよく調べますと、製造を始めて既に10年が経っていました。誕生のきっかけはコロナとは全く無関係で、オーナーが暇な時間に少しでも子供に野菜を食べさせようと工夫して作ったドレッシングでした。
その後、工場を作って本格的に製造販売を始めて全国的に売られる商品になったようです。商品を企画し、製造をはじめ、市場で売れるように販路を開発して売れるまでには、5年や10年はかかります。
今コロナ禍で、色々手を尽くして売る方法を模索している商品が、売れるようになるまでには時間がかかります。しかも、その商品が売れるかどうか、こればかりは売ってみないと判りません。
そこでこれからの事業者は、常に本業とは別に新たな商品、事業を考え続ける必要があることです。経営が厳しくなって慌てて新たな事業を探すのではなく、日ごろから準備して取り組むことも大事です。
もう一つ、これまで経営者は常に現状での最大利益を上げることばかりに集中しました。ただ、今回、コロナ禍を経験して最大利益よりも事業の持続性の方を優先させることが大事と学んだ人は多いです。
事業の目的は、あくまでも事業の継続であって、利益は継続するための必要条件です。この辺の優先順位を間違えますと、コロナ禍では乗り越えることができても、その後の大波では沈没することが考えられます。
【ひと言】
現在、約3分の1と言われる事業は、コロナ禍の影響を受け大幅に売り上げを減らしています。同時に、世界の景気循環は昨年前半をピークに下降線を描く時期と重なっています。さらに、20世紀型のビジネススタイルが、21世紀型ビジネスへの転換期を今迎えています。多くの企業が減益、赤字で苦労しているなか、過去最高益の会社がありますが、多くは21世紀型事業転換に成功している会社です。
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