コロナ不況のなか、6日の東証株価は24.325円と29年ぶりの高値をつけました。29年前というと1991年、その2年前89年末に38.915円の東証最高値を記録したあと、株式バブルが弾け90年年初から日本の株価は坂道を転げ落ち続けました。
現在は連日、大手企業のリストラ策が発表され続けている最中です。決して経済の実態は、株価が大きく上昇するような環境ではありません。コロナ禍以降の日本経済の実態は、上場している会社のほぼ3分の1が赤字か減益に陥っている状態です。
その中で株価だけが、バブル崩壊以降では最高値をつけていますから不自然であることは確か。この株価と実態経済とのギャップの原因は、日銀が企業株式を組み合わせ大量購入するファンドが、平均株価下落のたびに買い支えているからです。
問題は、日銀がいつまでも買い続けるわけにはいかないこと。今でも、日銀が買い支えている株式の割合は、東証1部総発行株数の約6%に達しています。次第に公的資金による、東証の株高演出が限界に近づくと外国投資家は資金を引き上げる危険性があります。
また、平均株価と実態経済との間のギャップが大きくなると、証券バブルが発生する原因にもなります。日銀の株式放出で逃げ出す投資家が増えて暴落を招くことにもなりますし、ギャップの広がりはいつか膨らみ過ぎてバブルが破裂することにもなります。
日本の株式は89年12月29日をピークに一度破裂を経験しています。当時は誰もバブルが弾けた認識はありませんでしたが、その後延々と株価は下がり、景気刺激のため赤字国債を発行し続ける悪夢は今も続いています。
現在の株価は、景気がよいことで上昇しているのではありません。各国中央銀行が景気刺激のために低金利政策を採用、少しでも利回りのよい投資先を探す結果、行き場のない多額の資金が株式投資に向かったためです。
日本の証券会社からは、優秀な人材が次々に退職しているともいわれています。今はコロナ禍による需要の大幅減少が不況の原因ですが、バブルが崩壊すると今度は金融危機による従来型の本格不況が到来します。
今から30年ほど前、後日バブルと言われた経済が徐々に崩壊していることに気づいた人と、再びバブル経済の起こることを信じる人とがいました。コロナ禍の現在、日本だけでなく世界規模の同時不況が起こりそうです。どう判断してどう行動するか、全ての人は判断を迫られています。
【ひと言】
わたしにも何度かターニングポイントに出会った経験があります。1970年、80年代には物価上昇が始まるまえ、90年代末の金融危機が起こるとき、08年のリーマンショック、大きな景気変動があっても、実際には身動きが直ぐには取れません。事前に準備していた人だけ、急場のときに考えておいたことを実行できます。特に、40代、50代の人は最悪のケースも視野に早めの準備は欠かせません。
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