世界経済が、10年程度の周期で大型不況に襲われていたところから、2年前から不況到来への対応を呼びかけてきました。不況が起こることは個人の力ではどうしようもないにしても、起こった時どう被害を最小限にするか考えることが必要だからです。
前回は08年のリーマンショックでしたから、そこから12年を経て新型コロナウイルスの感染爆発が世界規模で起きました。ただコロナ禍での不況は過去の大型不況と違い、ウイルス感染により人の移動が制限されたことで、需要が極端に落ち込んだことが原因の不況です。
現在は中小の飲食店、輸送機関、宿泊施設などで企業倒産が起きています。次第に中堅、大手の経営も厳しくなるでしょうし、その先には体力のない中小金融機関の経営も厳しくなります。従来型の大型不況がこれから発生すると考えるべきで、コロナ禍による不況はあくまでも導入部です。
ただ気になるのは、欧米の経済力と日本のそれとの違いです。欧米は、コロナによる感染者、死者共に日本とは比べものにならないほど多数です。GDP(経済成長率)も、落ち込みはけた外れに大きかったですが、その後の回復力も日本とはくらべものにならないくらい力強いです。
日本は、10万円の給付金を国民に配りましたが、多くが貯金に回ってしまい政府の狙い通りに物品の購入には回っていません。少子高齢化が進んで、国民になかなか消費意欲の高まらない事情があります。また、資金を必要とする若い世帯の所得が高くならない問題もあります。
何よりコロナ禍以降、政府が国民向けに配っているお金は、全て赤字国債を原資とする借金であること。そのツケは早晩、全ての国民が支払わされることになるお金です。欧米先進各国も今回のコロナ不況では、借金による資金を国民にばら撒いています。
ただコロナ緊急支出をスタートさせる地点で、日本ほど借金に頼らない財政運営をしてきているので、ロックダウン解除後の消費に勢いがあります。日本はコロナ禍の被害が少ないわりに、その後の需要も極端に弱くダラダラと景気の坂道を下り続けている感じです。
これからの国民一人ひとりの考え方や行動は、今後の人生に大きな影響を与えます。過去にも、太平洋戦争、関東大震災、スペイン風邪などによって破綻した会社や家庭はたくさんあります。とかく人間は、収入が減っても生活の質はなかなか落とせないもの。でも、今はそんなことは言ってられません。
【ひと言】
今でもMMT(現代貨幣理論)を信じ、大真面目で円が強いのでいくら紙幣を刷ってばら撒いても経済は大丈夫という人がいます。「借金をいくらしても大丈夫」って、詐欺師が人を騙すときに使いそうなフレーズです。例え国内では騙せても、貿易相手国の企業はそんなに価値のないお金を取引に使うとは思えません。いくらでも刷れる子供銀行のお金と同じですから。結局借金はそのまま残り、円は海外では使えない通貨になります。
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