このところ、株式相場には「29年ぶり」の言葉がよくつかわれ、連日2兆から3兆円近い大商いが続いています。どう考えてもこの動きはバブル経済突入と思いますが、世の中にはバブル好きがいて線路から外れて走っているのに怖がる気配がありません。
バブル経済の定義は、「株式や不動産など投機によって価格が吊り上がり、実態経済と大きくかけ離れてしまうこと。投機の資金が支えきれなくなると市場は崩壊し、大不況を招くことになる」 好景気によって株価が上昇することはありますが、この場合は金利が上昇することでブレーキの役割を果たします。
日本経済の現状を考えてもらうと分かりますが、実態経済はコロナ禍によって需要が大きく落ち込んでいます。とても株価が、29年ぶりの大幅上昇を記録する環境にはありません。しかも10年物国債金利は、0.02~0.03%でほぼ固定したような状態。
株価上昇は日本ばかりでなく、世界的に起こっている現象でアメリカは今月に史上最高値を記録しているほどです。英国、ドイツ、韓国も大幅に上昇しています。ただ日本がこれらの国と違うのは、日銀が上場投資ファンド(ETF)を通じ大量の大手企業の株式を買い集めていること。
また国が抱えている借金も、他国とは比べものにならなくGDP比で260%超に達しています。アメリカの財政赤字も危険水域といわれますが、それでも126%で日本の半分以下の水準。現在、コロナ禍によって赤字が膨らんでいるなか、バブルが弾けるといよいよ返済不能な借金が積み上がります。
今から29年前、証券バブルが弾けた1991年から日本経済は下降線を辿っています。86年から5年ほど狂乱景気で舞い上がったために、その後の20年以上に渡って不景気が続きます。その間、米英や国内のハゲタカファンドにより日本企業は格好の餌食にされました。
株価上昇により再び実態経済との間に大きな乖離が生まれ、投資家が高い株価に尻込みして売り出したり、投機の資金が続かなかったり、日銀が保有株を放出することで暴落は起こります。コロナ禍に続く証券不況により、航空、鉄道、宿泊施設、飲食業などの大手企業がハゲタカの餌食になりそうです。
この将来起こることがほぼ確実視されている悲劇を、ぼんやりとみているしかないのが今の日本国民の現実です。気を確かにもって、自分だけは巻き込まれまいと思っていても、政治家や経済人の中にはバブルを怖いと思わない連中がいますから怖いです。
【ひと言】
1929年、世界で大恐慌が起こって多くの人が仕事や命を失いました。米国35代大統領ジョン・F・ケネディの父親は、街の靴磨きの少年が株で儲ける話をするのを聞いて、手持ちの大量の保有株を売り払って資産を守った有名な話があります。最近、わたしの住んでいる街でも、コロナの話の後には株の話が出るようになりました。
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