長年、起業に関わっていて思うことですが、何故か共同経営で起業した会社は短命です。上手くいっているときは、最高のパフォーマンスを見せますが、一旦向かい風になりますとからっきし弱いのが共同経営のようです。
日本の共同経営は、弱小政党の合従連衡に似て簡単に壊れてしまいます。米国のスタートアップの場合、大半が共同経営によるスタートですが、こちらは起業慣れしているためか共同経営でも簡単にはこけません。
しかも「どんな業種の起業をするよりも、誰と一緒に起業するか」を選ぶというほど、人とのつながりを最重要視します。それは、お互いに自分の長所と短所を補ってくれる、パートナーを探すことが起業の肝であることをよく認識しているためと思います。
現代の起業では小企業といえども、柱となるメインビジネスと同時に、IT技術が欠かせませんし、資金繰りや組織作りの担当者が必要です。能力重視の起業をするためには、複数の経営者による共同経営にならざるを得ません。
日本の共同経営の場合は多くが、起業前に勤めていた会社の上司と部下や、仲間同士による組み合わせがほとんどです。新たな起業なのに、以前の人間関係をそのまま引きずって会社を立ち上げるケースが圧倒的に多いように思います。
良く言えば親密な仲間同士、悪く言えばナアナアで各人の夢をかき集めたような会社作りで、制度設計もビジョン作りも行なわず起業に走るケースをみかけます。一旦、売上げ減が続いたりすると、直ぐに責任のなすり合いが始まるわけです。
共同経営で失敗しないためには、1.起業する前の段階で、責任分担や給与を取り決めておくこと。2.仕事のコミュニケーションをよくして、第三者を交えて情報共有をしっかりすること。
3.仕事以外では仲間内の緊密な付き合いは止めること。これらは共同経営をする人にとって最低の必要条件。起業では、多様なメンバーの多い会社が有利なことは確か。最初の制度設計の段階から、成功に向け共通認識をもってスタートすることです。
【ひと言】
起業のレベルでいうなら、現代世界で進められる起業の大半は共同経営による起業です。多くの顧客を対象にした起業では、起業家一人がビジネスの全てのセグメントを管理するのは無理。特に経営部門とIT部門とは、二人の起業家が協力して進めることがキーポイントになります。スタートアップという言葉には、共同経営の意味合いが強く意識されているように感じます。
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