現在の日本社会は、低成長、低金利、低インフレに頭までどっぷり浸かって、思考停止の状態に陥っています。多くの銀行員は金融業務での稼ぎ方を忘れていると言われますし、日本人は経済が大きく変化することにまったく無警戒になっています。
20年以上に渡りこの「3つの低」が日本を覆ってきましたから、身体にしみ込んでしまった「変わらない日本」がホントに将来も変わるとは考えられないようです。これまで政府は、何度も経済を成長軌道に乗せようとチャレンジしても失敗の連続でした。
そんな中で発生したのが新型コロナ感染の拡大です。今は経済の底が割れたような状態に陥っていて、財政悪化がどうのこうのと言っていられない状態に入りました。これまで財政悪化に目を光らせてきた学者やアナリストも、今は口を閉ざしたままです。
20年度でいいますと、当初は63兆5千億円の税収を見込んでいましたが、実際は55兆円前後まで減収になりそうです。この税収の不足分にコロナ対策やコロナ後支援とを合わせた追加経済対策は73兆6千億円に膨らんでいます。
わが国の年間政府予算は20年度で102兆円。この予算にコロナ後向け経済構造転換のため51兆円が、デジタル化やグリーンエネルギー向けに使われます。国土強靭化向けにも6兆円近い予算が組まれることになります。
これだけの予算が組まれますと、いくら成長余力の乏しい日本といえども景気が上向く可能性は高くなります。「3つの低」が切り替わり、資金需要は高くなって金利が上昇したり、物価が上がり始めることも十分考えられます。
会社も個人も、この巨額の予算編成 ⇒ 景気を刺激 ⇒ 金利上昇 ⇒ 物価上昇の大きな変化が来年にも起こりそうです。この変化の予想をあなたはどう受け取るか、リスクをとれるかどうかの問題ですが、いつまでも低金利が続く保証はありません。また、また巨額予算で政府が変化を起こしても、どこまで持続性があるかも各自の読み方にかかっています。
【ひと言】
1985年のプラザ合意から始まるバブル経済とその後の処理の失敗をウォッチングしたわたしの経験では、お金が市場に流れ出して好景気になるときと、その後の失速はある程度読むことができます。今回のコロナ対策を利用して巨額の資金を市場に流す政策は、与野党の勢力が拮抗していると無理ですが、現在の自公の議員数なので可能になる話です。多分一時景気は上向きますが、以前のように何に使ったのか分からない処理が行われると、日本社会は大変なことになりそうです。
人気ブログランキングへ