一昨年、長く営業していた弁当店を解散した経営者が、居酒屋や飲食店での開業を模索していて相談を受けました。現在進行しているコロナ禍の影響により、相当数の飲食店が閉店するためコロナ後の開業には勝算があるはずという発想です。
コロナ禍が収まった時は、全国的に飲食店数が相当減少していることははっきりしています。コロナの前と後では、潜在的なお客さんが相当数いるので、需給バランスが崩れている読みに間違いはないとは思いますが・・
ただこの発想は、安心して大勢が集まって飲食を楽しめる環境の昨年末を起点にしています。世界中に1億人に近いほどの新型コロナウイルス感染者がいて、この後遺症に悩む人、亡くなる人が大勢でたのに昨年末と同じに戻るでしょうか?
1970年代、世界には2度のオイルショックが起きました。それまで1バレル2ドル程度だった原油が、10ドル以上に一気に高騰したのです。その時、世界で起こったのが「省エネ」です。
製造業でも小売り、サービス業でも、石油やエネルギーの消費を少なくする方向に社会は一気に変わりました。今考えると恐ろしいほどの勢いで、エネルギーの大量消費から省エネへとパラダイムシフトが起こったのです。
日本においては、95年阪神大震災が起こって以降、「耐震構造」の建物が一気に広がりました。その後の耐震設計への法律改正もあって、個人住宅も含めて耐震の建物が当たりまえの時代に切り替わりました。
他にも2006年からは日本の人口は減少に転じていますから、外国人労働者が増えていますし、人手不足問題を解消している会社が収益を高めています。過去50年程度の間にも、何度か企業経営を揺るがすパラダイムシフトが起きています。
そして現在はコロナ禍が進行中です。これまでの主役は、マスクであり、消毒アルコるとール、今後はワクチンと続きます。ただ2、3年して大きな流行が収まるとしますと、これらは脇役に回っていくと思います。
その時にどんなパラダイムシフトが起こっているか、今から決めつけるにはムリがあります。しかもコロナ前を想定して慌てて投資するにはリスクが大きすぎます。大企業とは違い小企業の投資ですから、よく見据えてからでも遅くないのでは。
【ひと言】
テレワークは、コロナ禍がもたらしたビジネスを大きな流れです。テレワークに伴って起こったのが家庭で行う調理の広がり。スーパーや宅配事業での家庭用食材の売れ行きが順調です。また、調理器具の売れ行きも伸びていますし、料理教室で調理の基本から学ぶ人も増えています。一時的に飲食店から家庭に料理が移ったのか、それともパラダイムシフトが起こっているのか、簡単には判断できません。
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