20年10月、新たに就任した菅首相は所信表明演説で「2050年に温室効果ガス排出ゼロ」を表明されました。日本国内で排出されるCO2やメタンなどの総量を、森林吸収や排出量取引で差し引いた量がゼロ以下にするというものです。
現在温室効果ガスを生むとされているのは、ガソリン、灯油、軽油、重油、石炭など燃料は多岐に渡っています。特に、自動車による排出ガスに対し厳しい目が寄せられていて、今後10年程度でガソリン車の製造は減少し電気自動車(EV)へ転換が進むと予想されます。
似たようなことがわが国では、1960年代から70年代にかけエネルギー転換で行われました。石炭を燃料とするエネルギーが、石油へと切り替わった時です。家庭用燃料、機関車、発電所などで石炭使用を次々と止めました。石炭は燃焼効率が悪いことが原因です。
わが国では、北海道と九州で大規模な石炭生産が行われていましたから、炭鉱関係者の大量失業を生むことになりました。また、石炭輸送や関連機器製造をしていた会社も、多数倒産することにもなりました。北海道に行きますと、石炭を産出していた会社の廃墟が今も多くあります。
今度は石油から再生エネルギーやバイオマスなど、現在はまだ本命は流動的です。ただ石炭の時と同じで、一度次の主力エネルギーが決まりますとあっという間に石油は見捨てられます。将来のないビジネスに対して人間は冷たいものです。
これから新たなビジネスを考えるとき、このエネルギー転換は大きな影を落としていることに注意が必要です。学生のころ、石炭会社が高額の給料で学生を募集していることが噂になりました。60年代の田舎伝説の一種ですが、産業が姿を消すとき大きな炎を上げ人を巻き込むことがあります。
【ひと言】
つい3、4年前までは、AI(人工知能)AIが叫ばれ、人間はAIに使われるとか、AIに仕事を奪われる話ばかりが産業界を席捲していました。いま、AIはすっかり市民生活に馴染んでしまって、誰もAIの脅威など口にしなくなりました。業界で最初にAIを導入した会社は大きな利益を期待できますが、2番手以降はそれほどの利益はありません。1番手と同じようなサービスのため、差別化ができない苦しみを味わっています。
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