昨年1月にコロナウィルス危機が発生して以降、「ピンチはチャンス」の台詞を耳にタコができるほど聞いてきました。この台詞を証明する端的な例は、証券市場で経験している人が多いからです。
日本国内でコロナ患者の発生が確認された20年1月15日の日経平均株価23916円から、3月19日の16552円まで下降しています。ところがその後患者数は日々深刻になっているのに平均株価は上昇し、今年2月16日には30467円まで上昇しました。
先行指標とされる株式市場で「ピンチはチャンス」が実現しているのですから、現実の経済市場において取引が急拡大してもおかしくないはず。ワクチン接種は始まっていますし、感染患者も徐々に減っているからです。
Fさんは、東京郊外の小都市でマッサージ店の開業を計画していました。コロナ禍前まで新宿でマッサージ店の雇われ店長を長年していて、店舗運営の経験は十二分に積んでいます。
しかもコロナ発生以降、閉鎖するマッサージ店が多いことから居ぬきで開店できるケースが多いです。家賃も、現在は大幅に減額されていて驚くほどの低賃料に設定されているようです。
まさに、「ピンチはチャンス」が現実に起こると思われました。開業にあたってのスタッフ募集も、仕事を失っているマッサージ師が多いため、ほとんど苦労なく集まる予定でした。
ところが、いよいよ開業へ向けカウントダウンという段になって、周辺で開業しているマッサージ店や接骨院の営業実態を調べて判断は一転します。駅周辺には5店の既存店が営業していますがどこもほとんどお客さんがいない状態。
駅周辺ならうるさいくらいいるはずのテッシュやチラシ配りがいません。駅からの乗降客さんは相当数いて、コーヒーショップには客数も多いのに、マッサージには人が集まらないことを知りました。
Fさんは、駅前のテッシュ配りを受け取ってもらえない現実に、コロナ禍の怖さを知ったといいます。結局、今回は開業を取り止めることにしました。個々の事業によってコロナの影響は違いますが、人と接触するビジネスには厳しいです。
【ひと言】
後日Fさんに聞いた話によると、マッサージ店の場合は駅周辺の不特定多数を相手にする店舗が厳しい反面、住宅街で開業している店舗には固定客があつまるようです。ただ、お客さんの絶対数が少ないですから、人を雇っての開業は無理といいます。この先どのように変化するのか、興味深いものがあります。
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