昔は「失敗は成功の基」とか言って失敗した人を励ましたものです。現代は起業に失敗した人の話を聞いていると、「成功は失敗の基」という言葉がぴったりする事例に多く合うようになりました。
一度は起業で成功したのにその後は成功に自信を得て拡大路線を突っ走り、結局失敗した起業家に多く出会ったことから生まれた言葉です。このケースに共通しているのは、最初の成功体験をその後の起業で強引に当てはめようとして失敗しています。
これから起業する人に覚えて欲しい事柄ですが、一度成功した手法を次の起業で繰り返そうとしても同じような成功には決してつながらないものです。面白いくらい最初の成功例とはかけ離れ、ビジネスの難しさを思い知らされます。
それは開業するロケーションが変わりますから、まったく同じようなお客さんの対応を期待しても土地柄が変わります。一度目の時はネットでのPRに成功したとしても、同じような成功を二度目の店に期待するのは無理な話です。
2000年代に入ってからのビジネスは、以前とは違ってそんなに単調なものではありません。それなのにまったく危機感やリスクの存在を無視し、前回の時とまったく同じ手法で起業して失敗することはないと信じて疑いません。
似たような例は、開業のときに必死に読み漁る起業系のノウハウ本にもみられます。著者の起業経験を通して自分も上手くいきそうな気になるのがノウハウ本の特徴ですが、現実はほとんど参考になる情報のないところで一方的に成功した情報だけを与えられるわけです。
どう考えても上手くいくように思いがちですが、実際に行動に移してみますと思いがけないことの連続です。他人の成功体験ほど役に立たないものはありません。何も考えず、成功例をなぞるだけですから、ビジネスがそんな都合よくいくわけがありません。
現代は、1900年代後半の大きな変化が起きなかった時代とは違います。スマホの登場や環境変化による自然災害の多発、新たに疫病の発生も起こりました。過去と同じような調子で事業をしていると、取り返しのつかない失敗を犯すことになるのでは?
【ひと言】
ビジネスにおいて常に成功ってことはありません。成功と失敗とは、糾える縄のように繰り返し何度も続きます。ただビジネスの大きな根元のところで失敗しないことが、事業の持続性を担保することになります。そのためには、時代の大きな流れを読み切り流れから離されないことです。一度の成功体験は、この流れを読む目を濁らせてしまいます。
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