日本国民が、欧米諸国と比較して貧しい生活を送る原因の一つとして、古くから言われているのが住宅の耐用年数の短さが挙げられます。30、40年で建て替えるのが一般的ですから、人生の多くの期間を巨額の住宅資金の借金を背負っていることになります。
経済の高度成長期なら住居と一緒に購入した土地の値上がり分で、高齢になってから家の建て替えも可能ですが、現代は人口減少がはじまっていますから値上がりは期待できません。住んでいる地域によっては、処分できない住居と土地とが空き家となって各地に溢れています。
そんなわが国の住環境の変化を巧みに取り入れたビジネスが各地で誕生しています。古くなって誰も住まなくなった戸建て住宅を購入や借りてリフォームし、家を求める人に売ったり貸したりする新手の住宅ビジネスです。
住宅建設は、日本経済にとって大きな影響を及ぼしています。新たな住宅に住もうとする際には、家電製品を替えたり住宅関連設備を購入したり経済に大きく寄与します。普段なかなか買い替えない冷蔵庫や自動車も、転居する時には一緒に替えようということになります。
他方、長期に渡りデフレ経済に陥っているため住宅購入は夢と思っている人も、安い中古住宅なら購入でも賃貸でも対応できます。わが国の空き家問題の折衷案として、中古住宅のリフォームは知恵のある解決策と思われます。
元々は、日本好きの外国人たちが、各地に点在している建築後100年以上も経つ古民家の魅力に惹かれ、自分が住んだり旅館として活用したのが始まりのような気がします。築何十年の古い住宅もピンキリで、中には安手の新築立売り住宅よりも価値のある空き家はあります。
日本の住宅市場は、社会の持続を重視するSDGsの視点から考えると、たいへんなムダを大量に放出していることになります。いつまでも今のままで市場が続くとは思えませんから、新手の住宅会社として空き家リフォーム事業は広がりが期待できそうです。
【ひと言】
東京都内でも、2025年には人口ピークを迎えると予測されています。今後は日本国中の住宅不動産の価値が、低下に向かうと考えた方がよさそうです。戦後半世紀以上に渡って、地価は下がらないという土地神話がわが国でまかり通ってきましたが大転換が起こります。バブル崩壊でもしぶとく生き残った大都市部での土地神話がなくなると、何に価値を求めるのか興味深いところです。
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