ここでは主に、起業を目指す人や新規事業を考える人向けにコメントを書いていますが、誰もが起業に向いているわけではありません。事業を立ち上げるとなるとリスクも大きいですし、他人とは違うビジネスの発想も求められます。
3年前起業はしたけれどなかなか軌道に乗せられずに苦戦していたYさんは、思い切って人から事業を買うことを考えました。実際に起業してみて、自分は新たな事業を興すよりも現在展開している事業を広げる方が性格に合っていると思ったからです。
人には、その人の育った環境や人付き合いの中で、事業経営を目指す人と組織に遣われることで仕事をしたい人とに分かれます。事業経営を目指す人の中にも、自分で組織を立ち上げることのできる人、組織の中で地位を上げて経営を目指す人とがいます。
近年新たに増えてきているのは、現在事業を展開している既存の会社を買う人です。中小企業経営者の高齢化がわが国では問題になっていますが、M&A(合併・買収)を手掛ける仲介サービス会社が増えて、ある程度双方が納得のいくカタチの事業継承を手助けしてくれます。
Yさんはこのサービスを利用し、まったく縁のなかった食品関連の小売り会社を買い取りました。これまでこの会社を経営していた社長は会長になり、業務内容を付きっきりで教えてくれる契約になっています。新米経営者のYさんにとっては、願ってもない教師の出現です。
しかも自分が起業した時に必要だった初期投資を考えると、格段に安い資金で会社を買うことができたと言います。若い人が新たな発想で起業することは価値がありますが、中高年が従来型の事業スタイルで起業するのはあまり感心できません。
今は起業のカタチもバラエティーに富んできて、自分の得意なスタイルに合った起業が徐々に可能になっています。会社を買うなんていうと大変なエネルギーと資金とを必要と思われがちですが、今は身の丈に合ったM&Aが広がってきています。
【ひと言】
今後、M&Aによって起業する代わりに会社を買う人が増えそうです。一から立ち上げるエネルギーを考えますと、既に開業している会社を買う方がムダを大きく減らすことが可能です。ただ、買う方の人にそれまでまったく経営経験のない人がつく場合、簡単に企業経営ができると考えていると痛い目に遭いそうです。事前にあれこれ対応策を考えておかないと失敗します。
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