現在、上場企業取締役の多くの人が、自分の専門スキルは何なのか頭を悩ませています。東京証券取引所は年内までに、個々の取締役に自身がもつ専門スキルを見える化し、投資家に分かりやすく開示することを求めているからです。
日本企業の多くは、仕事の能力以上に社長の受けのよい人を取締役に引き上げる社風が定着しています。その場合、特別な業務上の能力よりも酒宴での座持ちがよいとか、社長と趣味が同じでよく会話を交わすことがきっかけで取締役に昇進している人もいます。
急に、投資家向けに専門スキルを開示してと云われ、直ぐに自分のスキルを開示できるような人は取締役に引き上げられることは少ないです。仕事のできるタイプの人は、上司から煙たがられあまり出世しないのが日本企業の特徴ともいえるから。
そのため、仕事のできる人の多くが起業するかスタートアップで独立するケースが多いです。ただこの場合であっても、ご自身の専門スキルに関しては一度しっかり整理して、今のニーズに合っているかどうかを考える必要がありそうです。
わたしの経験から言いますと、確かに以前はそれなりの専門スキルをもっていたけれど、技術の進歩が急速に進む最近は、自分のスキルが陳腐化していることを感じる人も多いはず。これはIT技術ばかりでなく、他の技術や能力に関しても進歩は早いです。
結局人間の能力は、それなりに入力をするから出力が可能なのであって、出力ばかりでビジネス社会を生きようとするなら看板倒れになってしまいます。今はこのタイプの50代、60代社員を企業は多数抱えていて、その清算を迫られている企業も少なくないです。
既に起業している場合ならもっと悲惨で、年々売上げ減少に苦しむ企業の多くは、この時代の進歩を付いていけない経営者の会社です。自分の専門スキルのチェックが必要なのは大手の取締役ばかりでなく、起業を目指す人も会社勤めの人も皆が必要なようです。
【ひと言】
トヨタ自動車は、社内でパワハラによる自殺者をだしたことで、管理職に「360度評価」を実施することにしました。従来からの上司による評価ばかりでなく、部下や社内外の関係者からの評価も参考にした評価が行われます。これまでの社長や上司からの評価だけを頼りにした出世してきた人は今後が難しくなります。会社勤めで安泰な生活を送ろうとする人は、時代の変化によってこれからはきびしくなりそうです。
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