現在、自治体の仕事に関わっていてよく問題になるのは、多くの市で自由になる予算がほとんどないことです。そのため、これまで実施していなかった新たなことを始めようとしても、余程市長の思い入れの強い案件でない限りは実行されません。
昨年からはコロナ対策関連に多くの予算が奪われているため、ますます自治体が新規の事業をはじめることが難しくなっています。折角起業した以上、住んでいる自治体の事業に参加したいと考えても、昨年からは事業者登録さえ難しくなっています。
そんな中、今年発足したばかりのデジタル庁において、大臣が納入業者のNECを脅す発言が飛び出しました。代わりに、東大松尾教授が関わるITベンチャー企業の名前まで上げ、大臣自らが技術や費用まで言及して推薦する離れ業をやっています。
小さな技術系企業にとって、国の仕事を任されることは大変有難いことで、その後の事業展開にとって大きく影響します。ただ、絶対確実が求められる国家事業を小企業の力でやり遂げることができるかどうか、ここには賭けに近い問題を孕んでいます。
このような問題を考えるとき、最も大事なことは発注が公平であること。そして、選定するプロセスを見える化することによって業界内だけでなく、国民に納得してもらう必要があります。安倍内閣当時の加計学園問題を思い返しても、わが国には公平な専門家組織が判りやすく分析する仕組みが必要です。
今どきの政治家は市民や団体から依頼される案件に対し、何かしらの見返りを求めることが当たり前になっていると云われます。日本という国家が貧していますから、その国の政治家も負けずに貧し心持ちの人しか議員になれない仕組みができています。
IT技術に関して、官僚も政治家も深い知識をもっていません。官僚は3年周期で職種が変わりますから、技術に関して業者に聞くことが増えています。そのため、利権がらみの政治家の推薦よりも、第三者の専門家に相談することで広い角度から技術と費用とを評価してもらうことです。
スタートアップ企業がそのような評価の中で国の事業に参加できるドアができることを祈っている一人です。今のこの国の仕組みでは、大手企業や政治家の覚えのよい会社ばかりにチャンスがあって、画期技術の会社でもほとんどチャンスがないのがわが国の現状です。
【ひと言】
今、地方の自治体が購入する備品などは、価格が高いことなど織り込み済みで、地元の政界支援者の小売店から買わざるを得ない土地があります。これがとても高い価格で販売しています。よく問題になるのが、地元の学校で使用する教科書や制服、体育着などめちゃ高価です。既に書店や洋品店は閉店しているのに、学校用だけのために販売する裏口販売も横行しています。既得権益とはこのようなビジネスを云うのでしょうが、地元で開業している小売店のためにも、指定販売制度を止めて安く販売することを考えるべきです。
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