今の日本国民は、銀行預金をいくら預けても金利が0.01%ではほとんど増えないことに慣れきっています。同時にビジネスパーソンの給与も、あまり上がらないことに不満を感じなくなっています。景気が停滞していることで政府の責任を追及する人はいません。
贅沢さえしなければ、日常生活は何とか不便なく暮らしていけると考える人が多くを占めています。ただ外国を見ますと日本とはまったく違っていて、物価も金利も上がり続いています。日本一国だけが例外であって、世界の景気は動いています。
OECD(経済協力開発機構)のデータによりますと、金融不況が始まる前の1997年の実質賃金を100Pとすると2020年の日本は90.3Pまで減少しています。バブルが崩壊して以降、日本国民の賃金はほとんど下降が続いています。
この間世界に目を向けますと、米国は122.2P、英国は129.7P、韓国は157.9Pも賃金は上昇しています。賃金が上がらないから物価が上がらないのか、物価が上がらないから賃金が上昇しないのか分かりませんが、日本経済は停滞が続いていることは確か。
この間、金利はゼロ金利やマイナス金利にまで落ち込んでいますし、国の借金だけは増え続けていることになります。社会全体に高齢化が拡大していることもあって、物価も金利も低下が続いても誰も不満を言わないぬるま湯状態に不満の声もかき消されています。
ただぬるま湯はいつまでも続くわけはなく、いつかぬるま湯から冷水に変わる時がきます。海外各国と日本の間の物価格差が広がり続けることによって、何が起こるか考える必要がありそうです。外国産木材の場合は輸入価格の上昇が始まっています。
鉄製品として使用される国産鋼板は、価格の高い外国輸出を優先させ国内卸問屋向けは量を減らしています。コロナ禍前にも起こっていたアワビや牛肉などの高級食材の場合、中国向け輸出を優先し産地の日本では食べられない現象が日常的に起きそうです。
東京オリンピック後には、これら日本経済が抱えている矛盾が公になりそうです。今は、日本には物価が安いことを当たり前と思っている人が多いですが、どこかで調整が図られて物価上昇が始まることを覚悟しておいた方がよさそうです。
【ひと言】
東京オリンピックの開催が決まったときから、オリンピック開催後には大変な不況が到来すると云われ続けてきました。それが開催1年延期と新型コロナ感染拡大を経て、不況到来はすっかり陰が薄くなっています。警戒心も消えかかっています。現実は、当初の予測以上の不況が起こる可能性が高くなっています。国の借金額も増えていて景気対策の選択肢も限られてきています。
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