プロスポーツの世界においても、演芸、ビジネス、政治の世界でさえ、何か一つ他人にはない得意技を身につけることで、その世界で長く生き延びることができるのは確か。起業して長く事業を続けている人は、他の人にはない得意技をもっている人です。
当然のことですが他の人と同じことをしていては、いつまで経ってもその他大勢の一人で終わってしまいます。会社勤めをしている場合であっても、組織の中で頭一つ人よりも高く出そうと思うなら、社内で同僚や経営者から頼りにされる得意技が必要です。
政治の世界でまったく個性のないと思われる菅首相ですが、他の政治家を押しのけて首相に上り詰めるためには、それなりの得意技があるはずです。その一つが、過って総務大臣をしていたとき違う意見の官僚を一発で左遷させた恫喝の力です。
政治は話し合いと言いますが、まったく妥協しないで自分の意見を通そうとする恫喝は行政の世界で働く公務員にとっては恐怖です。ビジネスにおいては地方の閉鎖的世界に限定され、競争で多くの会社がひしめく市場でこのタイプは生き残れません。
多分、日本の政治はそれほど時代から取り残されているとしか思えません。脅すことによって官僚や自分の党の政治家を従わせることはできました。ところが、コロナ禍で感染拡大を阻止するため、得意技の恫喝を駆使したことが裏目にでました。
今回、緊急事態のなか一部の飲食店の夜間サービスを止めさせるため、金融機関や酒類販売業者を通して飲食店を脅そうとした得意技は裏目にでました。独禁法による、立場の優位を利用し相手に従わせようとする「優越的地位の濫用」が問われるとまで言われています。
官僚への恫喝による高圧管理は多くの官僚を敵に回すことにもなります。官房長官時代には効果的だった得意技が、首相になって行使しようとしたらたいへんな向かい風を生むことになりました。首相の座もそう長くは続きそうにないです。
恫喝が得意技とは質の悪いジョークのようですが、それでもこれからビジネスで生きようとするなら一つや二つ得意技を持つべきです。高いレベルの技を身に付けたならば、これまでとは違った高い視点でビジネスが見えてくるはずです。
【ひと言】
大リーガーの大谷翔平選手、将棋の藤井聡太棋士、ボクシングの井上尚弥選手など、日本人で世界最高レベルの若者が次々生まれています。政治の世界にも、世界レベルの政治家が既に生まれていてもおかしくないです。特に、起業の厳しい世界で鍛えてきた人の中には、そんなに時間をかけなくても世界と伍していける人材が育っていると思いたいです。自民や立憲とは別の、新たな政党の力で人材を育ててもらいたいものです。
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