現在、わが国の関心事といいますと、コロナ感染の再拡大と東京オリンピック開催です。大半の人が、この2つの難題に心を痛めていて、何とか大過なく収まることを願っているような気がします。
一時期、わたしは畑村先生が主宰していた失敗学に入れ込んでいた時期がありました。当然、起業をした人が失敗しないためにはどのような行動をするとよいのか知りたいためです。
その時に学んで肝に銘じておこうと考えたことがあります。それは、失敗につながる原因として注意すべきは、対象のメインストリートではなく、誰も注意を払わない周辺に原因があることです。
戦後最大の人災と云われる福島原発事故においても、原子力関係者が最も注意を払ったのは炉心や格納容器といった、原子炉の中央部分で津波の海水が侵入する事態など考えていなかったようです。
失敗学においては「ぶらぶら」という言葉で表現しますが、メインストリートと違って誰も担当者さえ置いていない部位から失敗は始まります。電源ケーブルや漏電装置なんてこともあります。
ビジネスで云うなら、製品やマーケテイング、配送システムなどには何人もスタッフを配置します。しかし、苦情の処理係や売れ残り品の処分係などには、誰も係を置かず業者任せにしている会社が多くありました。
業界でも悪評や負の資産を山積みする原因は、こんなところにもあります。会社が大きな失敗を犯す原因は、こんなところから種火が燃え始めることになります。
現在の日本が、あまりにもコロナと東京オリンピックばかりに関心を向けていると、大きな失敗を犯す可能性が高まります。五輪後の大不況であったり、夏場の熱中症死の急増であったり、その他にもぶらぶらはこの国にごろごろしています。
【ひと言】
東京オリンピックを誘致する前のことを思い出してもらいたいのですが、日本経済は長引くデフレによって景気は冷え込んでいました。オリンピック開催により少しでも景気を上向けようとしての誘致でした。東日本大震災からの復興というキャッチフレーズは、全くの後付けで当時は景気を開催費用によって買うような気分でした。そのオリンピックがこんなにこじれて開催ということになると、コロナ拡大と引き換えでは採算が合わなくなります。もう採算の話しは止めてしまって、何のための開催か分からなくなっています。
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