今回のオリンピックで最も気になったのは、競技そのものよりも大会直前に起きたイベント関係者の退場でした。開会式で音楽を担当したプロデューサーは、過去の障がい者へのいじめが問題視されました。
また開会式のショーディレクターだった人は、過去の芸人時代のユダヤ人を揶揄したコントがあることで、開幕前日に辞めました。どちらも何十年も前の言動が指摘され、責任を取らされることになっています。
同様のことは米国でも起こっていて、われわれには“# Me Too”運動として記憶に残っています。米国で2017年頃から、女性などが過去の性的被害を訴えるようになり、大物プロデューサーや俳優、トランプ元大統領なども俎上に上りました。
後で知ったことですが、米国には「キャンセル カルチャー」と呼ばれる社会の流れがあり、過去に問題のある言動を起こしていたことが指摘され、現在の地位や仕事などを失うことがあるようです。
法律上は不問とされた倫理的な問題であっても、過去に遡って追及され裁判を起こされるケースが増えています。最近は一般人であっても、過去のネット上での書き込みが問題となることまでよくありようです。
一つには、インターネットの広がりによって簡単に個人の過去の書き込みが検索されるようになったことが大きいです。もう一つは、社会の価値観の転換が早い速度で起こっているため、そこに気付いていない人さえいます。
古い映画を見ると驚かされることですが、刑事モノの舞台となる警察署内ではタバコの煙で充満しているシーンがよくあります。米国のショーでは、ディーン・マーチンがタバコを吸いながら歌っていのにはびっくりしました。
当時は、誰もがそんなシーンを不思議とも、ガンになるとも思わないで見ていました。今見たら、あまりの煙の量にみている方の頭がクラクラしてくるほどです。たいへんな社会の判断材料の変化が起こりました。
よく物事を考えないでネット上に刺激的なコトを書き込んで、後から取り返しのつかないケースが起こります。このところ差別的な発言をする人は増えていますが、世の中の変化で深い傷跡として残る可能性はあります。
もう一つ、今の社会の変化には注意が必要です。特にコロナ禍の収束した後の日本社会は、オリンピックなどと合わせて急速な不況が予想されます。ここにも社会変化の新たな種が芽生えているように思います。
【ひと言】
ヘイトスピーチの人などその典型ですが、歴史をよく学んでいない人は多いです。ネットなどで人種差別主義者の話を聞いていますと、自分で考えた意見と云うより他人の意見をそっくり真似て発言している人が多くいます。このような人など、ネット上にその発言をアップしますと、後年その発言は問題視され人生について回ります。ネットで自分に似た考えの人の発言ばかりに接していると、反対意見に接することがなくなります。このぬるま湯状態は危険です。勇気をもって、違った意見にも接してください。
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