20世紀終盤、日本人は社会の変化に対し勘が鈍いのではと云われるようになりました。1980年代後半のバブル経済に気付いた日本人はほとんどいませんでしたし、当然その後のバブル崩壊にも気付いていません。
驚くほど地価と株価とが高騰し、95年頃からは歯車で急速に逆回転を始めても、マスコミを含め客観的判断のできる人は少なかったです。今になっても、バブルをもう一度と考える政治家さえいます。
多分日本人には、現状を変えたくない保守的心理の人が多いことが、いつまでも変われない社会を形成しているように思います。その証拠に、欧米では過っての好況時代に資産を作り、その後も増やし続ける資産家が多数います。
日本の場合バブル期に大きな資産を築いた人で、その後も資産を増やし続けている人は知りません。大半のバブル紳士と云われた人は、その後の事業の失敗で2000年代に入って全ての経営者は姿を消しました。
そのため現状認識をする目と、将来予測をする勘とが鈍いと云われ続けてきました。日本には米国のように、事業の投資先を巧みに次々と切り開き巨額資産を築いた人はほとんどいません。
そして現在、地球温暖化による気象変動が進行しています。このところ毎年のように各地で水害が発生し、狂気のような台風被害も続いています。温暖化による被害は将来の課題ではなく、現在進行中の災害と云う方が的確と思います。
ここでも欧州に比べ温暖化の取り組みは各段に遅れています。米国はトランプ大統領の無知によって対応が相当遅れていましたが、現在バイデン大統領のもと多額の予算を組んで急ピッチに対策を進めています。
日本は新型コロナウイルスにおいても感染初動で、多額の財政赤字を抱えている負い目でウイルス検査体制を構築できない失敗を招きました。財政赤字問題は、今後温暖化対策においても大変なハンデとなります。
全国の橋、トンネル、道路などのインフラの多くは、建築から50年を超え耐用年数を超える時期に差し掛かっています。社会も、会社も、個人もそろそろ変わらなければいけない時期を日本は迎えています。
日本社会は極端に失敗を嫌いますし、失敗しないために前例踏襲がまかり通っています。そのため、ほとんど勘を働かせる局面がありません。勘が鈍るというより、勘を鍛える場面のないのが日本社会で個人がどう鍛えるかがポイントでは。
【ひと言】
多くの人の話を聞いているわけではありませんが、Twitterなどで全く知らない人の発言を読んでいますと、とても深くモノゴトを考えて発言する人がいる反面、ほとんど考えずに発言している人も少なくないです。また年齢を重ねるに従って考えることを億劫に思う人も増えてきます。自分の得意分野ばかりでモノゴトを考え、違う局面からはまったく考えないのは危険です。多様性は、そんな欠陥を防ぐ役割があるように思います。何せ考える習慣がないことには、社会の変化にも気付くことは絶対にないです。
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