自分が馴染みの販売店やサービス施設のことをイメージして考えてください。過去、2年以上に渡って定期的に豆がなくなる度に購入していても、特段のお得意様サービスなどまったくなくそれが当たり前のように思っています。
一方、そのお店では新規のお客さんを増やすため、コーヒー豆初心者を対象とした商品の大安売りを時々行っていて、その時は普段の3割引きや4割引きで販売しています。自分としては、相当このお店に貢献していると思いますが、そのための恩恵はほとんどなし。
日ごろ、こんな風に感じているお客さんは多いのではないかと思います。これをお店の経営者の立場で考えますと、常連のお客さんは黙っていてもうちのコーヒー豆に惚れ込んで買ってくれるので、できるだけ気持ちよく買ってもらうこと。
「それよりは、売上げを増やすため新規のお客さんをいかに集めるか、そこがうちの会社にとっての重要課題のはず。集客に効果的な方法があるなら思い切った投資をしようとも考えています」今は、このように考える経営者が圧倒的です。
日本においても、「顧客生涯価値」という考え方が徐々に広がっています。新規に購入してくれるお客さん作りよりも、現在の常連者の購入頻度を高め、ヘビーユーザーになってもらう方が、掛かる費用は減り売り上げも高まるからです。
常連客を維持する費用より、新規のお客さんを増やす費用はほぼ5倍はかかると云われます。一人のお客さんが取引を始めて終わるまでにどのくらいの収益をもたらしてくれるかを計算します。
一人の顧客がもたらす収益=購入の継続期間×購入単価×購入頻度
日本の場合、都市圏での人口減少と高齢化とが進んでいます。そのため開業してみますと分かりますが、新規顧客と云われる人はあまり都市部でも増えません。また、絶えず購入店舗を変えることが趣味のお客さんもいて、新規顧客の定着率が低いことがあります。
そのため、初めてのお客さん限定の割引やサービスをするよりは、常連客向けに納得のサービスを考えた方が、費用も少なく確実にお客さんに喜んでもらえるサービスができます。その方が会社経営には効果が大きいです。
【ひと言】
起業すると、まずはお客さんを増やすために新規顧客集めに必死になります。その時、大半の起業家は一度購入してくれたお客さんは、黙っていても再度購入してくれるものと思い込みがち。起業で失敗する人の多くが陥りやすい勘違いです。お客さんの大半は他の店と比べるための様子見で来店しているので、固定客になってくれるのは一握り。その中で新規顧客作りばかりに精をだしていると、失敗するのは目に見えています。開業前から冷静な戦略を考えることです。
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