新型コロナ感染の第5波の収束が進んでいます。そのなか朝日新聞は感染者が急増した8月に、自宅や介護施設など病院以外で亡くなった人の統計を全国の都道府県別で調査しています。まず驚かされるのが、東京都が44人で断トツの1位であること。
2位が千葉県の7人、3位は埼玉県の5人で、それ以外は大阪も愛知も4人以下です。病院に収容することができなくて、自宅療養と云う名目で入院拒否をされた人が東京では大量に亡くなっています。多分、医療崩壊がこの時期に東京では発生していたと想像できます。
東京以外に住んでいたならば助かる命が、日本国内では最も医療設備が充実しているはずの東京の住民が多数亡くなりました。東京への一極集中によって1400万人も集まった結果、感染症が大流行すると医療は全ての人に対応することが難しいようです。
東京オリンピック・パラリンピックは、東京への集中がますます加速するため反対する声もありましたが、この反対意見はコロナ感染拡大によって証明されたようです。大小多くの病院が存在し、多数の医師が住んでいても医療崩壊は起こりました。
もう一つの問題は、この在宅によって亡くなったコロナ死者数が国や自治体からはまったく発表されていないこと。自宅療養は厚生労働省がコロナ患者数の急増によって、大混乱したため慌てて採用した政策です。聞こえはよいですが、早い話が患者の病院受け入れ拒否です。
菅首相は会見のたびに、しつこいほど「国民の安全と命を守る」と云い続けてきました。その命を救って欲しいと119番に助けを求めたのに、自宅や施設にそのまま置き去りにされ、満足な治療も受けられずに亡くなってしまいました。
東京オリンピック以降、東京にこれまでのように仕事を求めて集まってくるのかどうか、注目しています。昨年夏以降、東京都23区の人口が減少しているニュースが流れましたが、市町村も含めた東京都全体ではまだ人口減少は起きていません。
もし東京都の人口が減りはじめ、地方都市の人口減少に歯止めがかかったなら、この国のビジネス展開も変わってくると思われます。その場合、現在のような効率ばかり追求することが難しくなるでしょうし、企業が中心の経済から公的資金に頼ることが多くなりそうです。
【ひと言】
アメリカは、トランプ時代の過度に企業に依存した経済運営から、バイデン大統領に代わって国や自治体の公的資金にウエートが移ると云われます。コロナ対策がよい例ですが、PCR検査やワクチン接種など大半を公的資金に依存することになりました。これからも、気候変動対策や感染症対策など40年振りに経済の主役に公的資金が遣われるシーンが増えそうです。これまでの流れですと、アメリカで起こったことは数年遅れて日本でも公的資金が幅を利かせる時代が到来することになります。
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