皇族の結婚を巡ってマスコミは盛り上がり、つられて国民の関心がとても高くなっています。わたしは、新聞や週刊誌での見出しに、大文字で「一時金を辞退」と書かれているのを見ると、とても寂しい気持ちになります。
皇室でたいへん不自由な生活を強いられてきた皇族に、退職金とこれからの励ましの意味で資金が贈られるのは不思議なことではないのでは? 日本という国はそれほど貧しい国ではないし、皇室に対しは穏やかな気持ちで長く対応してきたようなに思います。
外野席からみていて気付くのは、皇室と長く政権の座にある自民党の間には引っ掛かりがあって、この両者は国民を相手にトレードオフ(半比例)の関係にあるのではないかと思うことです。皇室が国民の人気を集めると政権には人気がなく、政権に期待する時は皇室に人気がないことです。
戦時中、皇室は軍部によって都合よく利用された暗い歴史がありました。「天皇のためには戦争で死ぬ」ことが国民の美徳とされ、若い人への教育では天皇は生き神様、その発言に従うことを強制され続けました。現在の北朝鮮に酷似しています。
昭和天皇の2人の弟君は、この軍部によって天皇像が捏造されたことを戦後痛烈に批判しています。戦前の教育を受けた子供たちも戦後になって、それまで神様とされてきた天皇は同じ人間と改められ、学校の先生による戦前の教えは誤りとされ心に傷を残した人も多いです。
皇室には、戦前の政権によって天皇が都合よく利用されたことに対して警戒感が強いと言われます。自民党の歴史は戦後66年ですが、皇室は1500年以上に渡って日本にありますから、時の権力に対する距離感には神経質です。権力と一緒の行動をすることで皇室が倒れますと、そのまま日本から消える心配があります。
企業についても、政権や政治家とつながることで事業を大きくした人も過去にいましたが、結局はほとんどの会社は長い時間の中で消えています。明治時代に生まれた財閥を除きますと、歴史の長い会社はその大半が政権や有力政治家との距離をとることで息の長い事業を続けています。
【ひと言】
会社がある程度大きくなりますと間違いなく、行政や政治家と顔を合わせる機会が増えます。会社の事業が上手くいっていない時や、新規事業を考える時にはどうしても、そんな政治家に相談したくなる課題がでてきます。頭では政治家との距離を考えなきゃと思っていても、次第に距離が狭まってくることは確かです。ただ、政治家に頼る解決策はカンフル剤で病気を治すのと同じで、まったく持続性のない一時的な救済であることを知っておくべきです。
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