アップルの創業者スティーブ・ジョブズは、今から10年前の10月5日56歳で亡くなっています。今でも、死の6年前スタンフォード大学の卒業式でのスピーチ「ハングリーであれ、愚か者であれ」のフレーズは、起業家精神の第一歩として語り継がれています。
ただこの時期のアップルは、決して現在のように世界を代表する製造会社ではありませんでした。ビル・ゲイツのマイクロソフトやIBMを追いかけるコンピューターメーカーの1社で、01年に販売したiPodとiTunesによって音楽事業で急速に事業を拡大していた時期。
iPhoneの販売を発表したのは07年1月のことです。しかも、過って携帯コンピューター事業で失敗しているジョブズは、iPhoneの開発には反対していたと言われます。また現在の収入源の柱とされるアプリ配信サービスに関しても、当初からジョブズは反対だったとされています。
ネットのプラットフォーム事業が、こんなに巨大化するとは予想されていなかった時代ですから、アップルコンピューターの創業から関わった人間には想像もできない市場の出現です。ただそんななかでも、アップル社内では頑固なジョブズを社員が説得し、新たな市場を作って事業を拡大していきました。
そう考えると、世界最大の製造会社をつくったのはアップルの社員たちで、ジョブズはそこの代表ということになります。これはアップルに限らない話です。成長を続ける会社は優秀な人を採用することによって、何倍にも事業規模を拡大することが可能になります。
どんなに優秀な経営者であっても、一人の人間が会社でできることは限られています。会社によっては、社員の提案を経営者が握りつぶしたため、社員たちが独立しやことで辞めた元の会社よりも、新たに数人で作った新会社の方が大きくなるといったケースもよくあります。
起業家は自分の能力に自信をもっていて勢いのよい時期は、若い社員の提案などほとんど聞かない経営者も多いです。経営者としては、会社を大きくするチャンスを自らの手で潰しているようなもの。人の意見を聞けるかどうかによって、会社はどのようにも変わっていきます。
【ひと言】
起業のときは、経営者の力量に大きなウエートがかかりますが、一旦軌道に乗りますと今度はスタッフの総力に会社のウエートは移ります。個人プレーのゲームからチームプレーのゲームへとルールがある時期から変わります。この仕組みを事前に認識していないといつまでも社長一人が頑張って、最後は社長が病気で事業は終わりを迎えることになります。
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