矢野財務次官が、このまま赤字財政を続けていると国家財政は破綻すると警告の記事を文藝春秋に発表して、国民の財政に対する関心も少しは高くなったような気がします。矢野次官が批判を覚悟で警告するほど、今度の総選挙においては与党も野党も公約に資金のバラマキが目立ちます。
財政赤字に関しては、昨日今日の問題ではなく1990年代のバブル崩壊以降、政府は景気刺激策として多額の資金をバラマいて景気浮揚を図ってきました。景気が良くなると財政赤字も減らすことができると歴代の首相は主張してきました。ただ少しは好景気になっても、財政の立て直しを考える首相などいません。
自民党から政権を奪った民主党は、事業仕分けによって国のムダをなくそうとしたほどなのに、今はどこの党も給付金や補助金のカタチで資金を配る公約をしています。最近の地方選挙で市長候補が当選したら現金を配りますと同じような手口です。
国の財政よりも自分たちが当選することが第一で、財政赤字はそのうち何とかなるのではと考える議員がほとんど。そこから生まれたのが、日本の財政はいくら借金をしても大丈夫とする説。日本の国債は9割近くを日銀や国内で消化しているので、売られて暴落する心配はないといいうもの。
この説の出どころは、安倍元首相以降に首相のブレーンを務めてきた大学教授という人が多いです。現在、国の財政問題で最も悩んでいるのは米国バイデン大統領ですから、日米同盟を強化するためにも行って指導してもよさそうですが、あくまでも日本でだけ通用する話のようです。
結局、日本の政治家は、自分が選挙で当選することが最も重要なことで、当選するためなら日本の将来のことなど目を瞑る人たちのようです。長年、財政が厳しいと云いながらわが国は一度として赤字を減らしたことがないようです。また、国内的には日銀が国債を買い続けて消化することができても、外為市場の円の価値はどんどん下がります。
燃料や食料など日本は外国からの輸入によって賄っていますが、価値の安くなった円で支払うとなると国民の負担はどんどん重くなります。また借金まみれの日本に対して外国の批判も強まります。戦前の日本のように、再び孤立の道をわが国は歩むことになります。
最後は、物価と金利の上昇をきっかけにインフレが進行することで国の債務を小さくするか、戦後の政府が行った通貨切り下げを強引に強行して債務の桁を少なくするか、方法は限られます。どちらも国民には大変な負担を強いることになります。給付金を貰ったけれど、その後にたいへんな額の国の借金を政治家ではなく国民が負担させられます。
【ひと言】
今の日本社会の空気が怖いです。たいへんな額の借金を国が抱えながら、誰もそれを知っていながら問題視しない空気があります。20年以上続くデフレによって国民の生活はとても疲弊しています。人によっては、少しでもお金を必要としている人もいます。ただ、誰もが後から重い税金となって徴収される給付金よりは、少しでも資金を節約して借金体質に陥らない国にしないと、間もなく途上国に逆戻りすることが心配です。
人気ブログランキングへ