今週、先進国の中央銀行が一斉に行動を起こしました。新型コロナの感染拡大対策で、各国は急激な金融緩和を進めてきましたが、緩和を停止して政策金利の引き上げに向かっています。どこの国も消費者物価の上昇が予想を上回る数値を示しているため、インフレ警戒で金利を上げる必要がでているためです。
米国FRBのパウエル議長は、物価上昇を一時的現象と説明していましたが上昇が止まりそうにないため、急遽市中に出回る国債の買戻し速度を倍にします。そのうえで、22年には3度の金利引き上げを行う用意のあることを公表しました。自身の判断ミスを認め、景気拡大からインフレ退治へと方針を切り替えることにしました。
EUも欧州中央銀行がコロナ対策として、市中へ資金供給を増やす緊急債券購入を行っていましたが22年3月で打ち切ります。イギリスの中央銀行イングランド銀行も、政策金利を0.1%から0.25%に引き上げインフレの発生に備えます。オミクロン型新型コロナの拡大が進むなか、コロナ一辺倒からインフレ経済の猛威に備え動き出します。
日本は他の先進国と違って国の借金が膨大なため、金利引き上げをすると国債費が膨らんで自分で自分の首を絞めることになります。そのため金融緩和から抜け出せないワナに陥っているような状態。今後、厳しい経済環境に陥ることは覚悟しなければならないのが日本の現状です。
ビジネスに関わっている人がここで考えなければいけないのは、今後の日本経済の展開です。今多くの経営者が悩んでいるのは、日本におけるインフレ発生の心配です。企業が仕入れのときに支払う企業物価指数は前年同月比で、9月+6.3%、10月+8.0%、11月9.1%です。
一方、企業がお客さん向けに販売するときの消費者物価指数は、9月+0.2%、10月+0.1%と数字的にはほとんど上がっていません。この消費者物価が抑えられている原因の一つに、スマホの使用料金の引き下げが影響しているといわれます。
それにしても日本では国民の購買意欲が低いため、企業が販売価格上昇を抑えるために収益を削っている実態があります。このまま企業物価の上昇が続きますと、日本企業の中でも中小企業がばたばたと倒産するケースも考えられます。
物価上昇が進みますと、低賃金の従業員や年金生活者はいきなり生活が苦しくなります。日本経済が深刻な不況に転げ落ちる可能性が高いです。そうなると自分はどう生きていくのか、考えざるを得ない必要性に迫られることにもなります。
【ひと言】
現在、世界的に物価の上昇が起こるインフレ圧力が強くなっています。問題なのは、この20年以上に渡って先進国はインフレ経験がないこと。役人の政治家も物価がどんどん高くなる経験がありませんから、テキストで知るインフレの怖さ以上にはリアルな実感がありません。また、トルコのインフレが注目されていますが、これはインフレ対策のための金利上昇をエルドアン大統領が拒否しているため、対策を打てません。日本も大量の赤字国債発行のため金利を上げられない事情があります。インフレが怖いのは、先進国では日本が一番のような気がします。
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