わが国を代表する起業家というと、令和の今の時代でもホンダの本田宗一郎やソニーの盛田昭夫の名前が最初にあがります。時代は大きく変わって、日本電産 永守重信さんや楽天 三木谷浩史など今は活躍してても、世界のレベルでは本田、盛田の名前がいつまでも知られたようです。
2000年代に入ってからは、日本人の代表的起業家の名前はあまり浮かばなくなっています。一つには、日本からテスラのイーロン・マスクやウーバーのトラビス・カラニックのように世界で通用するビジネスを立ち上げた起業家がほとんど現れていないことがあります。
二つ目に、起業スタイルが変わったことによってスーパースターが現れづらくなっているのではないでしょうか。過っての起業においては、一人の人間が事業のあらゆることに気を回して立ち上げていました。現在は従来の起業とIT技術とがペアになっているため、2人や3人が組んでスタートするようになっています。
今でも一人で起業する人はいますが、失敗することが多く事業を軌道に乗せたとしても大きく拡大することが難しくなっています。やはりネット環境に全責任を負う二人目の起業家も含めなくては、現在の起業を語ることはできません。
今の新しい会社は、意識的か無意識かは別にして行動経済学で言われるところの「死亡前死因分析」を活用した事業計画をもとにして意思決定を行っています。この手法はまさに、人が死ぬ前に何で死ぬのか死因を考えることによって、死を防ごうとする目的の分析です。
これを起業失敗に当てはめて取り組む手法で、複数の人間が集まって失敗につながる起業の仕組みを考えていきます。以前のように起業家が一人で会社を切り盛りするのとは違い、事業に精通する知性を集め事前に失敗対策を考えておくことで難局に備える方法です。
このような起業手法を導入すると、以前のような起業のスーパースターは現れなくなるような気がします。その代わり、簡単には起業が失敗しなくなりました。多くの起業塾や起業のシェアハウス、シェアスペースなどで行われているのも、この「死亡前死亡分析」と同じ手法を使っているようです。
現代の起業やビジネスで目的としているのは、多くの人に役立つことを持続的に長く提供することです。決して一時的な大きな意味のない利益を上げることではありません。利益ばかりを追求していると人は誰も集まってくれません。起業する人には肝に銘じておいて欲しいものです。
【ひと言】
行動経済学にはよく、ビジネス書ほどあてにならないものはないとよく書かれています。著名な経営者や評論家が書くビジネス書は、多くの事例は著者が過って成功したケースをモデルに書かれています。ところが現在のビジネスは展開が早いため、数年前の成功事例はもう昔の話であって、現在では見向きもされないケースが多いといわれます。またビジネス書が数万冊売れたとしますと、数千人が似たようなモデルのビジネスに取り組んでいることにもなります。自分が新しい境地を開く気持ちで起業には取り組むべきです。
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