地球の北半球では、これから到来する本格的な冬の寒さに心細い思いをしてる人が沢山います。気温の寒さばかりでなく、世界規模のインフレで物価高が続き厳しい生活を強いられている人も大勢います。最近盛んにニュースで取り上げられているのが、西洋と中東の境の国トルコの経済状況です。
トルコのインフレといいますと、今年9月は1ドルが9リラだったのが、12月には17リラまで貨幣価値が下落しました。たった3カ月で半値近くに価値が下がりました。インフレ率でいいますと20%台のインフレが発生し、国境近くの人は越境して外国で買い物をしています。
何故こんな乱暴なことが起こったかといいますと、この国で長期政権を続ける大統領 エルドアン氏は金利を上げることを極端に嫌っているからです。通常インフレが発生している国の金融当局は、政策金利を引き上げることによってインフレを冷やそうと努め、現在32カ国が実施しています。
米国でも現在インフレが発生していますが、中央銀行にあたるFRBは先月議長が2022年に3度の金利引き上げを行うことを事前予告しています。エルドアン氏の場合、金利引き上げを嫌って過去2年ほどの間に金利上昇に理解のある3人の中央銀行総裁を更迭したほどです。
世界的に金融政策を間違えないために、政府と中央銀行とは分離と独立性の確保を保っていますがトルコはどこふく風です。そのためインフレを封じ込めることができず、トルコ経済は危機的状況に陥っています。寒い冬が近づいているなか、88434万人のトルコ国民は食べ物の確保にさえ苦しんでいます。
日本の状況はこのトルコに酷似しています。アベノミクスによって、それまでわが国では禁じ手とされてきた大幅な金融緩和を実施しました。この緩和によって大企業と投資家とに資金が回ることになります。また日銀が大量の国債を保有しますから、金利上昇も抑え込むことができました。
この政策も短期間なら効果を評価できるのでしょうが、8年以上もゼロ金利のままとなると資金を借りる企業は助かりますが、国民は金利がないため金が回りません。大企業に資金を集めその金が徐々に国民に回るとするツインクルダウンも、結局はほとんど回っていないことがはっきりしました。
来年からは、日本でも多くの企業が商品価格の引き上げを計画しています。また電気、ガス、水道など公共料金の引き上げも始まっています。その上に日本の場合、円安が引き続き進行する可能性が高いです。為替変動によって円安は輸入物価を高く引き上げます。
トルコの経済混乱は決して他人事ではないです。トルコは大統領の経済に関する偏見が不安を招きました。日本は、多額の財政赤字が経済政策の縛りとなって厳しい環境を作っています。手をこまねいて沈む国と同じ道をたどるよりは、自分なりにインフレを乗り切る道を探るしかないです。
【ひと言】
自国通貨を発行している世界の主要各国は、コロナとその後のインフレ対策でたいへん難しい対応を迫られています。その点、日本銀行にしろ財務省にしろほとんど具体的な対応はなし。現状のまま金融緩和を続けていますと、ほぼインフレ対策は期待できません。国民としては、預金金利が上がらないことで利益がないうえに、物価上昇によって支出ばかりが増えることになります。コロナ後の経済は、日本国民にとって相当厳しいものになりそうです。「赤字財政は今ならまだ間にあう」という識者の声をよく聞きますが、ほとんど根拠のない話。手遅れのような気もします。
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