昨年暮れから、オミクロン型新型コロナが大流行しているヨーロッパでは、早くも感染収束後を見越した動きが始まっています。これまでは、コロナ感染を世界的な大流行とする“パンデミック”という言葉が使われていました。
ところが、地域的なウイルス感染を意味する“エンデミック”という言葉に置き換えようとする動きです。毎年冬になると流行するインフルエンザはエンデミックの一種で、国の資金を使ってのワクチン接種ではなく自費でお願いしますという意味が含まれています。
オミクロン型の場合は重症化する確率が低く、現在は感染者向け治療薬の飲み薬も製品化が進んでいます。何よりも、これ以上公的資金を投入してコロナ対策にかかりきりでは財政がもたない事情が大きいと思います。
現在われわれが接種しているファイザー製ワクチンは、1回分で40ドル(約4500円)支払っています。モデルナ製の場合はその倍ともいわれます。その上に、医師、看護師、スタッフ、施設などの費用がかかりますから、そうそういつまでもワクチン接種を続けるわけにはいきません。
日本ではこの辺のコスト意識をまったく抜けていて、政府が調達に頑張っている感ばかりをだしていますが、本来公的資金の使い道はオープンにすべきです。21年度補正予算でのコロナ対策費で巨額費用を見込んでいますから、いくらでも使えるかのように勘違いしがちです。
実際は現役世代ではとても支払えないほどの多額の赤字国債を発行していて、今回のコロナ対策でこの借金はますます膨らんでいます。現在この借金の元本と金利支払いのために、予算全体(106兆円)のうちの22.3%(23.8兆円)もが使われています。
借金で苦しんだことのある人なら分かると思いますが、借金の繰り越し繰り越しを続けていますと泥沼から抜けられないような気分になります。これが国ですから、次第に国民にも無気力感が強くなりそうです。特に若者は、社会に出たとたんに増税ばかりに続くことになります。
まだ日本で問題視されていませんが、この国で進行している少子化をこのままにしておきますと、今の30代40代が高齢になったとき、年金の原資を支払う現役世代の絶対数がいないことになります。早い話、日本という国のSDGsともいえる持続性が保てなくなります。
政権維持のため目先の選挙に勝つことばかりに気を取られたバラマキ政策をしていると、最後は国民が戦争で負けた時と同じように路頭に投げ出されることになりかねません。日本国民は政府を信用し過ぎますから、金の切れ目が縁の切れ目で借金だらけになったら、今の政治家は誰もいなくなって独裁者が居座るなんてことにならないことを祈っています。
【ひと言】
90年代のバブル崩壊以降、日本の政治は小沢一郎、小泉純一郎、安倍晋三といった2世、3世の世襲政治家に振り回されてきました。今では、人生のリスクが大きい政治家になれる人は、世襲で代々の政治資産でもなければとてもとれないほど国民とかけ離れたものになっています。多分、国政選挙でも投票率がやっと50%を上回る程度に低くなっているのは、国民と政治との距離感に起因しているように思います。もう一度優秀な若者たちに国政をゆだねて、この国の装いを変えてもらうしかないです。
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