2022年に入って株価は不安定な状態が続いています。日経平均株価は、13年から9年間に渡り日銀の金融緩和策をテコに上昇を続けてきました。安倍内閣以降の政権も、株価上昇がこの国の政権安定のためには欠かせない要因として積極財政を続けています。
当然株価ばかりではなく、大都市圏を中心とした不動産価格も上昇の一途です。都内のマンション価格はサラリーマンの平均給与の13倍にも上昇していて、1990年代のバブル経済のときよりも高値になっています。こうなるとどこかで弾けるタイミングを図っているのがバブルです。
最初に言っておかないといけないのは、現状がバブルかどうかなど誰にも判らないということ。急な価格上昇が起こっても、それに実体経済が追いつくとバブルとはいえなくなります。またバブルにも、大型のバブルから小型バブルまで色々あって、実体経済の中では時々発生していることです。
そこで今問題なのは、今年に入って米国の中央銀行FRBが消費者物価上昇を抑え込むため、これまでの金融緩和策から長期金利上昇へと政策転換を行うことです。過去の経験からもFRBが金利引上げを進めることで、自国を含めて各国株価が大幅に下がることははっきりしています。
日本においても日銀は、これまでファンドを通じて購入していた株式投資を昨年から縮小させています。元々中央銀行が企業株式を買い支えるなんてことは財政の世界では禁じ手です。これまで株価が下がると日銀が買い支えてくれるので安心して買っていましたが、現在は支えがありませんからどこまでも下がる心配があります。
ただ同じ下がるにしても、大恐慌やリーマンショックのように大暴落して経済が機能不全に陥るのか、ソフトランディングで済ませることができるのか大きな分かれ道が待ち受けています。日本の場合、1990年代に発生したバブル崩壊が一つの教訓として今も記憶に残っています。
90年代バブル崩壊においては、企業が株式や不動産に投資した多額の資金が不良債権になりました。この時点でもバブルが崩壊したことを信じない経営者や政治家は多数いて、再び好景気が到来することを信じていました。わたしも、半分崩壊、半分再度好景気と思っていました。
そのためにズルズルと不良債権は膨らんでいき、01年に小泉政権が発足して清算に乗り出すまで日本経済の弱体化が急速に続きました。過って世界のGDPの18%を占めていた日本経済は現在の6%まで縮小した原因がこのバブル処理の失敗であることは確かです。今回、再び同じ道を歩むのか、バブル発生にまで進まないのか、こればかりは判りません。
ただバブルへと進むきっかけとしては、1.米国で金融不安が発生し日本に大きな影響 2.コロナで生き延びた企業の倒産が多発 3.思いもしなかった大規模自然災害の発生 4.円の下落や多額の借金で日本の信用不安が膨らむ など今の時代は過去の経験則では測れない事態が起こることも考えられます。
【ひと言】
バブルに対しては昔から「音楽が鳴っている間は踊り続けよう」と言われます。あまりに警戒して早くに降りてしまったら、儲ける機会をまったく失ってしまいます。ただ音楽の鳴っている間といっても、雑音の大きい中では聞こえなくて最後は大きな損をするケースが多いです。90年代のバブル崩壊時、当時株価や地価を引き上げた主役ともいえる企業は、ほとんどが崩壊と一緒に姿を消してしまったのもホントです。
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