ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、先進諸国はロシアへの制裁の一環として石油輸入を徐々に減らしています。そのため世界的石油価格の高騰が起こり、米欧各国のガソリン価格は20%から30%近く上昇しました。
石油を100%輸入している日本でも価格上昇は起こっています。ただ、3月末現在で6%の値上げですから米欧とは比べものならないほど値上げ幅は小さいです。日本経済新聞が米欧と日本とのガソリン1リットル当たりの価格の比較を行っています。
3月28日現在の比較です。日本は170円、アメリカは150円、フランス 270円、ドイツ 281円、イギリス 264円です。これまで、ガソリンの価格比較というとリットルとガロンで表示され比較が難しいでした。
それにしても、石油を全量輸入している日本の価格が安く、北海石油を産出しているイギリスよりも安いのは驚きです。世界一の産油国アメリカと20円しか価格差がないとはびっくりものです。
ロシアのウクライナ侵攻以降、アメリカ、ドイツは27%、フランスも20%上昇しています。それに引き換え日本は6%ですから、何かの間違いではないかと思ってしまいます。当然、日本の輸入価格は上層していますが、何かしらのからくりがあります。
日経の記事によりますと、21年12月に対策を決めていて、1リットル当たり170円程度になるように補助金を毎週調整した結果、4月末まではこの価格を維持できるようです。結局、税金を投入することによってこっそりと価格操作が行われたようです。
多くの国民は石油高騰の危機感を感じることなく、許容範囲の石油高で乗り切れた気分で終わります。ただ、国の借金は間違いなく増えています。世界の中堅・先進国で唯一桁外れの借金がまかり通るのも、このような仕組みを見せられると当然の帰結のように思えます。
もう一つ、人間には「火事場のバカ力」のように危機の時に普段とは違う桁外れの力を発揮します。1970年代の石油危機の時には、メーカー各社が省エネ製品の開発に力を注ぎ、日本の自動車メーカーは小型省エネ車によって世界の自動車市場の勢力図を塗り替えました。
危機感のない社会にイノベーションは生まれません。日本政府がいつも危機回避のため、税金投入によってぬるま湯のような社会づくりをしていることで、必死になってエネルギー危機に取り組むことがなくなりました。脱炭素による発電設備でヨーロッパメーカーに敵わないのも、こんな事情がありそうです。
【ひと言】
今回、米欧と日本のガソリン価格を比べてみて、分かったことは1200兆円に迫る国の借金が増える仕組みと、自公政権に国民の不満が少ないこと。よく金で解決のできないことはないといいますが、約100兆円の予算を動かす政府にとって解決できない問題はないことです。ただ、この膨大な借金を自公政権が返済することはありません。最後に泣くのは国民であることは確かです。
人気ブログランキングへ