EVのテスラや宇宙開発のスペースXで時代の先導する経営者イーロン・マスク氏が、「出生率が死亡率を超えるために何かを変えない限り、日本はいずれ存在しなくなる」と発言して大変な話題になっています。本人も「明らかなことを言うようだが」と念を押しているように、至極まっとうなことを言っています。
ここでの文章を長く読んでくれている人なら気づかれたと思いますが、わたしも人口減少が止まらない日本は、消滅こそしなくても小国への道を歩んでいることを何度も言っています。何故なら、人口動態調査を基本にして人口推移を予測する人口学は、最も外れることの少ない信頼できる将来予測が可能な学問です。
その人口学者の多くが将来の日本の衰退を予測しているからです。日本の政治家が今取り組まないといけない喫緊の課題は人口減少を止める政策を考えることです。ところが日本の人口と正面から向き合う力のある政治家がまったくいません。景気さえよくなれば、黙っていても人口は増えると思っている人が大半です。
2012年から2020年まで、7年以上に渡って政権を担った安倍元首相は、次々に日本が抱える問題を政策課題として取り上げました。「デフレ脱却」「女性活躍社会」「名目GDP600兆円」「働き方改革」などなどずらりと並んでいますが、人口問題に関わる課題はまったくありません。
人口問題同様に、財政建て直しも先送りを続けています。日本社会の根幹に関わる問題は巧みに避け、有権者受けのよい課題ばかりを取り上げています。しかも、ほとんど成果を上げることはできずに、「取り組んでます」「頑張ってます」ばかりを強調した在任期間でした。その後は歴代の自公政権の首相が皆同じ手を使っています。
ここまで日本は長いこと追い詰められているのに、今になってマスク氏の指摘に驚いている人がいること自体不思議な話です。日本も隣の韓国も、将来消滅する可能性がある国であることは、人口学でよく知られています。移民は認めないと言いながら、外国人労働者が世界4位の規模で働かせている国でもあります。1000兆円を超える国の借金がありながら、それでも有権者向けに公金をばら撒くのが今の日本の政治です。
これから少しでも人のために生きようと思うなら、簡単に人に騙されないこと第一です。戦前に日本人の多くが今のロシア国民のように騙され、政府に全財産を巻き上げられた人も多数いました。もしかすると、アメリカ国民も日本国民も騙されている可能性はあります。
自分で調べ考え権力に騙されないことです。絶対に戦争を起こさず、敵からも攻められないことです。そのためには、自分でデータを読むことも大事ですし、モノゴトの根拠を調べることも必要です。今は、それがビジネスの種にもなる時代です。
【ひと言】
その昔、何故若者は学校で勉強をするのかと問われ、先生が口にした回答は「人に騙されないため」でした。当時はばからしいと思っていましたが、今は確かに騙されないための勉強は思えます。特にインターネットが普及してから、世の中には「騙し」がとても増えました。ビジネスや政治の世界において、騙しは日常的に増えています。特に経営者が騙されると結果は悲惨です。倒産、破産、借金など、取り返しのつかない言葉が次々に起こります。
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