世界的に新型コロナ感染は収まりつつあります。コロナが収まると経済活動も本格化することが見込まれますが、日本とアメリカとでは労働者の就業に関する考え方が逆方向を向いていて考えさせられます。日本では、仕事探しに熱心で会社の求人よりも、求職者の方が多いことです。
今のアメリカですが、仕事は職種さえ選ばなければいくらでもありますが、求職者の方が安い賃金や自分のレベルアップにならない仕事では働かないのです。また将来性のない仕事には目もくれません。大型トラックは今後自動運転への切り替わりがあるため、運転手不足は深刻でたいへんな物価上昇を招いています。
アメリカ人の労働者の方が仕事に関する取り組みが真剣です。もう一つ大きいのが、バイデン政権は労働者のリスキリング(学び直し)に熱心に取り組んでいます。今後、脱炭素社会に対応できない人たちが増えると社会はたいへん負担を抱えることにもなります。
ヨーロッパの各国も、リスキリングに関してはアメリカ以上に古くから熱心です。ヨーロッパも日本同様に資源の少ない国ばかりですから、国の資源は人材とばかりに教育には力を入れています。世界で脱炭素エネルギー分野に一早く取組み、この分野の人材も多数輩出しているのがヨーロッパです。
日本は元々が、教育にほとんど公的資金を投入しません。そのため企業が社員教育には力を入れてきましたが、それも2000年代の不況時にはほとんど止めています。今は、個人が自費で取り組む以外に学び直しの機会が日本にはほとんどないのが現実です。
OECDによる調査では、成人学習を受ける機会の柔軟性はOECD加盟国平均が(1.0が満点)0.45に対し日本は0.1です。最大はルクセンブルグの0.78。
同じく時代の流れにマッチした会社が求める企業ニーズに対し、対応できる整合性の評価ですが、平均は0.57に対し日本は0.12。デンマークなどは0.81と日本人では太刀打ちできないレベルです。
日本政府はしばしば「国民の安全を守る」と云いますが、実際に国民がこれから生きていく上で最低限必要なスキルに対しては、支援も情報提供もほとんどありません。現実は、自分で切り開く以外に自分を守るための職業スキルを身に着ける方法はありません。
将来のための職業スキルといいますと、日本には反射的に職種資格試験を思い浮かべる人が多数います。社労士や行政書士など代表的ですが、この種の職業は殆ど役立たないのが現実です。今現実にニーズが高いのは、IT関連の資格、統計関連のデータサイエンスなどは、現在最も企業ニーズの高い資格です。自分のキャリアのため戦略的に取り組むことをお勧めします。
【ひと言】
日本を代表する企業というと、誰もがトヨタ自動車をイメージしていると思います。22年3月期も過去最高益をだすほど儲かっていますが、エンジン車から電気自動車への転換のなか最も難しい位置にあります。自社を含め、エンジン部門の社員、取引会社など約3割近い整理を迫られています。日本には、トヨタのように脱炭素やDXなどによる構造転換で仕事を失う社員を多数抱える会社があります。誰もが、自分の会社は、職種は大丈夫が調べてみるべきです。
人気ブログランキングへ