今から約50年前、日本経済はたいへんな試練に立たされていました。現在と似ていて、イスラエルとエジプトなど中東諸国の間で戦争が発生、石油価格が暴騰しました。石油関連の商品価格もうなぎ上りで国民生活は一気に奈落の底に落とされた時期です。
それまで経済は高度成長が続いていた時期で、トイレットペーパーが不足するという騒ぎで、スーパーの店頭に多くのお客さんの人だかりができていました。他人の車の燃料タンクからガソリンを盗む行為が横行して、この時期から一般車のタンクに鍵が付けられるようになります。
日本経済がまだ弱かったですから、石油値上げの影響は国民生活に直撃しました。唯一の救いは、経済に活力があり国民の給与は上がり続けていましたから、物価上昇に比例して賃金も上がっていたので厳しいなかでも生活はできました。また政府も、この難局を乗り切ろうと必死に政策を繰り出しました。
今は、ビジネスの世界では「ピンチはチャンス」という言葉がしっかりと社会に根付いています。まさにこのオイルショックのピンチを日本の当時の企業はチャンスへと変えます。その後世界の自動車市場を席巻する日本の小型省エネ自動車は、このオイルショックを契機に生まれました。
これは自動車に限った話しではありません。家電、船舶、工作機械など日本のモノづくり技術が世界の先頭に躍り出たきっかけが、オイルショックのあった1970年代でした。この時期、当時の西ドイツも大きく飛躍した時期でもあります。
あれから約50年が経ち、歴史は繰り返すの教訓通りに再び石油の暴騰が起こっています。当時と違っているのは、日本が先進国の仲間入りしたことと、国民に難局を乗り越える知恵はなく政府に何とかしてもらう依頼心がばかり強くなったことです。
日本で売られているガソリン価格の平均値は1リットル164円程度です。国の補助金が1リットル当たり35円も入っているようです。米国の販売価格は1リットル換算で150円と言われます。ヨーロッパ各国の販売価格は、軒並み200円を大きく超えています。
日本の価格設定は、この世界的石油暴騰のなか他国との比較で驚くほど安くなっています。ただこの安さは、決して特別なルートで安く仕入れているわけではありません。政府が石油高騰対策として補助金によって販売価格を引き下げているだけ。
国の借金として計上されますから、後日増税のカタチで国民にツケが回ってきます。現在の政権に対し不満は抑えられますが、将来の政権や国民にこの借金支払いを背負うことになります。同時に、厳しい環境から逃れるためピンチをチャンスに切り替えるきっかけも失うことになります。
【ひと言】
もし日本を愛するなら、この国の子孫のために借金を減らし豊かな生活環境を作るための土台造りをするのが真の愛国者。自分の時代だけが良くでこの後は野となれ山となれでは、いくら靖国神社を参っても国を愛してるとはいえない。元来、愛国愛国なんて叫ぶタイプの人間は信頼できない。愛国と叫ぶ以外にこの国のために貢献できない人のやること。偽の愛国者に騙されないように。
人気ブログランキングへ