現在、飲食店で最も開業する人の多い業種はゴーストレストランです。コロナ感染が全国で猛威を振る前の2019年までは、料理のケータリングと云われあまり一般的ではないビジネスでした。それが2年後の21年には売上高がほぼ2倍近い8000億円にも達するビジネスに成長しています。
ゴーストレストランは、名前のように客席も看板もないレストランで、あるのは料理をつくる厨房だけです。しかも大都市圏では同じ厨房を複数の料理人が共同使用しているケースが多く、料理は宅配事業者によって注文先に届ける仕組みです。
フランチャイズ本部が厨房を運営しているケースもあり、初期費用はほぼ無料に近いです。月々のロイヤリティも売上げの10%程度で、開業のためのハードルは低いビジネスです。ただ、通常の飲食店と同じように光熱費や食材費などランニングコストはかかります。
これから飲食店での開業を希望する人にとって、ゴーストレストランはリスクが少なく魅力的な事業といえそうです。しかしまったくリスクがないわけではありません。どんなに固定したお客さんが多く経営が安定しているといっても、問題になりそうなのは料理を配達してくれる宅配事業者の経営状態がとても不安定なことです。
よく宅配事業者としてメディアによく登場する「ウーバーイーツ」にしても、テレビ広告でお馴染みの「出前館」にしても厳しい経営を強いられています。上場企業の「出前館」の決算をみますと、売上げが伸びても宣伝広告費や管理費に費用がかかって赤字が続きます。レストラン側が儲かっても配達側の利益が伸びないことには、この事業の持続性はないことにもなります。
多分ゴーストレストランで開業する人にしても、いつまでもゴーストを続ける気持ちはないと思います。まず飲食店経営を第一歩をゴーストから踏み出すにしても、その先には自前の店舗を構えて対面営業による開業も視野に入れていると思います。ゴーストはそのための修行場所としては、幽霊にもまれて腕を上げる最適の場所といえそうです。
【ひと言】
今、世界の製造業では、各国から部品やモジュールを集めて製品を完成させるためのブロックチェーンが、米中対立のために難しくなっています。ゴーストレストランの場合も、宅配業者の黒字経営が確立しないことには、いつまでも不安定な事業ということになります。チェーンのどこか一カ所が切れると、現在の事業は成立しませんから注意が必要です。
人気ブログランキングへ