現在世界規模でインフレが発生している原因は、一つには新型コロナ感染の大流行です。2020年の初頭からコロナ感染が世界ではじまり、約2年半に渡って自由な消費活動を制限してきました。家計に溜まっているお金を使い始めるリベンジ消費が需要を大きく引き上げる一面があります。
22年2月にはロシア軍によるウクライナ侵攻が発生、西側諸国によるロシアへの経済制裁が始まりました。ロシア産石油とLNGが制裁の対象になっていますし、ロシアとウクライナとの農産物も市場から消えましたから、深刻な品不足によって価格上昇が起こります。
他にも、先進各国では飲食店や運送事業での人手不足によって、商品の流通に目詰まりが起こり、モノ不足に滑車をかけることになっています。このように深刻な供給不足が世界規模で短時間に発生しました。他方各国政府は、コロナ対策に多額の資金を供給しています。
思い出して欲しいのですが、コロナ感染当初の20年は医療体制を構築するため、多額の資金が世界で投入されました。21年には予防ワクチンの奪い合いが世界で発生し、この時も各国が資金を投入して国民向けにワクチン争奪戦を展開しました。
これらに使われた資金が大量に民間市場に滞留していて、モノの需要力の源泉となっています。ある程度流行が収まりつつある現在、この資金の野放しにしておくとインフレが加速しますから、金融当局は景気の悪化を覚悟で回収を進めています。政策金利の引き上げはそのためです。
日本の場合消費者物価指数の上昇は、4月2.1%、5月2.1%、6月2.4%と他国と比べ各段に上昇率は低い数字です。インフレによる物価上昇が発生しても、多くの消費者は購買を止めるわけではありません。人間、長い時間を経て身に付いた習慣を変えることは難しく、購入は続きますから景気はよくなります。
ただ経済活動が活発化し、収益が上がって雇用も増えても、供給側の生産に問題が発生します。今ですとアルミ、半導体、小麦、石油製品などの高騰と不足によってフルに作れない心配が起きます。現在の日本を取り巻く製造工程でも現在起こっている現象です。
【ひと言】
自動車メーカー トヨタ自動車にしても、最近は製造停止をすることがとても増えました。過ってトヨタが製造ラインを止めることなど、大災害が発生したとき以外考えられませんでした。今は、半導体不足、取引子会社がハッカー被害などよく休みます。品不足と次に値上げですから、気付かないうちにインフレの芽は膨らんでいました。
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